第2話

   二



書店に入ったら、信じられる?

いたの

あの人よ

書架をほんとに楽しそうに本を選びながら歩く

経済書も、政治の本も、ミステリーもロマンスも、ひとしなみに愛しいみたい

私、本になりたい…


「浜口様ー」


きゃっ!

このタイミングで呼ばないでよ

予約の本が届いております

お待ちくださいのあとぶらぶらしてて見つけてしまって、

気づかれないように見てたから…


そっとレジカウンターで受け取って、代金払って外へ出る

バスでご一緒するだけの人…


「はまぐちさん」


振り向くと、ああ神様、あの人が私に笑みかけていた!

真っ赤な耳から火が出そう

ハートは爆発しそう!

でもどうして名を?


「店内で呼ばれたでしょう? 『暁』買うひとなんて珍しいなって思ったから。マルルーレ好きなの?」


マルルーレ

エッカート・マルルーレ


好きなの?


私が、


私が好きなのは…


好きなのは…



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