第135話 魔物と怪物?
騎士部隊に行って道案内してくれる人材…魔物を捕まえられた。
『んじゃ、さっそく行くぞ。』
「あ、アムール。始めはゆっくり徐々にスピード上げてくれ。」
『おう。始めは準備運動がてら軽くな。』
道の問題は解決出来たが、あとは迷子のきりんさん対策。
アムールがどれだけ早いか分からないから、いきなりのトップスピードで万が一きりんさんが明後日に走り出しても大丈夫だろう。
ゆっくり走りだした俺達。
「きりんちゃん、なんで離れていくの?」
「え?」
「あれ?アムールちょっと止まってくれ。」
『っとと。なぁ、この姉さん大丈夫なのか?』
「ここまで来ると呪いですね。」
「呪いとか言うな。」
少し走り始めてまだ数分。距離を感じた先輩がいち早くきりんさんの疑問に気づく。
運動音痴って訳でも無いし、歩いていれば普通なんだけど。走り出すと少しでも気が散ると別の所に行く傾向が見える。
やはりこうなると…。
「ほら、きりんさん。急ぎますよ。」
「ま、また子ども扱いして…すまん。」
きりんさんの手を取り走る事にした。少し走りにくいけど、離れる事が無いから効率はきっといいはずだ。
『翔もういいか?』
「あぁ。すまない。行こうか。」
「よーし。張り切って行こう!」
「は、はい。」
今度こそ出発だ!北の天河海まで一気に行くぞ。
―――――。
時間的に2時間くらいかな、俺達3人と1匹は順調に走り続けた。周回してる時のランニングと変わらないスピードだから、4周分とすると今半分くらいか。
『てか、休憩とかなしでいいのか?』
「ん?いつもこれくらい走ってますし、もう少し速くてもいいくらいですよ。」
「翔くん。アムールくんはなんだって?」
「休憩するかって聞いてきたから、大丈夫って言いました。」
「そっか。色々気にしてくれてるから、この早さなんだね。もっと急いでもいいからね。」
アムールの言葉は分からないが、先輩も早くしていいよって伝えた。そう言えばずっと静かなきりんさんは?視線を横にすると目が合う。
「っ!な、な、何か??」
「そんな慌てなくても。きりんさんはペース上げても大丈夫ですか?」
「む、む、無論だ。」
「そうですか。今日はいつにもまして噛みますね。」
「う、う、うるふゃい……。」
「ふふ、ほらまた。」
じぃーーーーーと先輩が見てくる、その目は何ですか?あれ、きりんさんが赤い?走って疲れたかな?大丈夫か再度聞くと、噛みつつも大丈夫だと言ってくる。
『その流れいつまでやんだ?速度上げるぞ、着いて来いよな。』
「あぁ。速度上げます。着いて来いと言っています。」
「ながーい準備運動だったね。早く海に行こー!」
「和歌先輩、なんか趣旨忘れてませんか?」
何だかんだで速度を上げたアムールにしっかり着いて行く。海の匂いが少しづつ近づいているのが分かった。
―――――。
『もうすぐ着く…ぞ。はぁ~。』
「そうか。ここまでお疲れアムール。もう少し頑張ってくれ。」
「どーしたのー?」
「もうすぐ着くそうです。アムールも疲れてそうなので、頑張れと激励を。」
「そっか。やっと着くんだね。もうひと踏ん張りがんばろー!」
「……。」
疲れの見えてきたアムール。さすがに魔物と言えどこんなに走りこんだりしないだろうし。
きりんさんは静かだけど。
『なぁ、一つ…いいか?』
「なんだ?」
『これだけ走って…顔色一つ変わらないって…どうなんだ?』
「俺達3人は走りなれてるし。」
『にしてもだ。魔物の中でも俺早い方んんだけど…。』
「まぁ鍛え方が違うんだよ。」
『俺が魔物なら、翔達3人は怪物って括りだな。人とは思えない。』
「むむ!今失礼な事考えた?アムールくん?」
先輩のセンサーは人に留まらないのか。天使とは程遠い満面の笑みを見たアムールは全力で首を振る。
「…翔くん?」
「いえ!天使です。はい!」
「天使?何言ってるの?」
「は!なんでもありませんよ。」
「まぁいいけどー。」
俺とアムールは何かを感じ取った。
そしてそっと心にしまう。
海の匂いが大分近いし、ここから何があるか分からないし気を引き締めていこう。
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