第85話 旅立ちの日?

 レースも終わり俺達はいつもの家で昼食を食べていた。本気で走ったからか、ご飯もいつも以上に美味しく感じた。


「でだ。3日後は学園に食材運ぶ準備が出来そうだ。坊主達もそれで一緒に帰らないか?」

「そうですね。急いで帰る事もないですしょう。網野さんそれでいいですか?」

「は、はい。そ、それで連絡しておきます。」

「おっしゃ、それで準備してくるわ。それまでここは好きに使ってくれ。」

「はい。ありがとうございます。」

「お、そうだ。それとは別に町の奴で坊主達を調べ…話を聞きたい奴が居るんだが。」

「走ってる時に言ってた奴ですか…。」


 レース中の実況で色々言ってたのは聞こえていた。何やら怪しげな事を言っていた様な…。


「えーやだよ、バドしたいし。何より研究とかはルカちゃんでお腹いっぱいだよ。」

「お?ルカって言うと、あの天才発明家のか?」

「天才発明家?ルカさんが?」

「実際は会った事ないが、最後の判定した時使った映像石とか、声を拡散したり、坊主達の位置を把握したのも全部その人の発明品だぞ。」

「あぁ…ルカさんなら作りそうだな。」

「テトラのとこの学生って聞いているし、ここに食材提供の代わりに何個か発明品を貰ったりしている。」

「それでも、町長は会った事無いんですね。」

「ル、ルカは学園の敷地から出るの嫌うから。」

「まぁ会って話もしてみてぇが、そこまで無理する事も無いからな。こっちとしては使えればなんでもいいのさ。」


 ルカさんの発明品は学園内だけじゃなく、色々な所に出回っているらしい。その後で町長と3日後の話をして、町長は帰って行った。


 俺達はその後学校に出向いて、昨日に引き続きバドの練習に付き合った。


…。

 

……。


 そんな生活もあっという間に終わり、学園に戻る日になった。町の入り口では、見送りとしてかなりの町民が集まっている。


「「師匠ぉー!俺達しっかり訓練して強くなります!」」

「「翔様ぁー!私達も頑張りますー!」」

「「和歌ちゃぁーん!いつでも遊びに来てくれー!」」


 それぞれのファン(?)に見送られ俺達を乗せた馬車は街を出発する。


「いやぁーうちの町民にえらく気に入られたな。」

「「「ははは…。」」」

「まぁ、坊主達ならすぐ来れる距離だしな。また遊びにでも来い。」

「「「はい。」」」


 なんだかんだで1週間居たのか。この町では学園には無い体験が出来たと思う。帰る前の日なんかは引き止められたり大変だったりもしたけど。


「バドも楽しかったね〜。今度は皆で来ようよ。」

「そうっすね。料理も美味しかったし、走ればすぐですしね。」

「ル、ルカが来るかなぁ。は、走るの嫌いだし。」

「がはは。連絡よこせば向かいだすぞ。」


 そんな他愛も無い話をしてるうちに学園に到着した。


「ワシらはこれを納品したら帰るな。」

「町長さん、1週間お世話になりました。町民の皆さんにも宜しくお伝え下さい。」

「なーに。世話になったのはワシ達の方だぞ。」

「今度は皆で遊びに行くから、また美味しいご飯食べたいな。」

「おうよ。町総出で歓迎してやるぞ。ねぇちゃんも元気でな。」

「あ、あの。な、ナグマ町長も。お、お体に気をつけて。」

「おう。嬢ちゃんも元気でな。んじゃ、ワシらは行くぞ。またな!」


 町長と別れた俺達は久し振りに学園へと帰ってきたのであった。

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