第82話 注目のスタート。

 なんだかんだで大盛り上がりな町。それは、突如始まった3人のレース。


「さぁ!町のテンションは最高潮!まずは3人の選手の紹介だ!町長お願いします!」

「おうよ。学園から派遣された部隊であの蛇を退治した3人の隊長、網野きりんだ。」

「「師匠ぉぉ!頑張れぇぇぇ!!」」

「熱烈な声援が聞こえますね。この町の学生達ですね。」

「あいつら、授業はどうした?」

「情報によると。昨日の網野さんと兵頭さんに教えてもらったらしく、このレースを聞きつけて先生に土下座までしてお願いしたとか。」

「その熱意を別なところに向けて欲しいもんだがな。まぁ今回は目をつぶろう。」


 おいおい良いのか町長。心に中で思ったが言うだけ野暮だな。土下座までした熱意はきっと網野さんにも伝わるはず…。

 ん?と言うことは?


「続きましては、蛇を町の危機から蹴り飛ばしてくれた兵頭さんですね。」

「あーあれを見た時はびっくりしたな。坊主なら今回もびっくりする事やってくれそうだな!」

「「きゃぁぁ!翔様ぁぁぁ!!!」」

「今度も学生達ですね。情報によると泣いてまでお願いしたとか。」

「…もう何も言わん。て言うかだ、1日でどれだけ好かれてるんだよ。」


 やっぱり来てたか。様呼び止めさせとけば良かった…。


「師匠に翔様ねぇ…ふふ。」

「あ、和歌先輩笑いました?」

「ふふ。いや、好かれ方が違って面白いなぁって。」

「呼び方は変えようとしたんですがね。」

「2人とも押し切られたと言うか、話せなそうだね。」

「よくご存知で。」

「呼び方なんてなんでも良いじゃん。好かれている事に変わりは無いんだし。」

「和歌先輩が様付けされたらどうしますか?この後行くんですよ?」

「ん〜私は様付けじゃ呼ばれない気がするよ。あれは翔くんだからだよ。」

「俺だから?どう言う意味ですか?」

「あれ?気がついてない?」

「え?何にですか?」

「まぁ良いじゃん。行けばわかるさ〜」


 まぁ行けば分かる事だけど、俺だからってなんだろう。うまくはぐらかされた気もする。


「さぁ最後はあの蛇討伐で決定打を放った宇佐美さんです。」

「不思議とあの姉ちゃんだったら、なんでも出来るって気にさせるんだよな。」

「「和歌ちゃぁぁん!!頑張れぇぇ!!!」」

「…ありゃなんだ?」

「町民ですね。情報によると、討伐後いろいろあったとか。」

「説明適当だな、おい。」

「では、一部だけ。孫の嫁に欲しいや、彼女が入ると場が和む等で絶大な人気があるみたいです。」

「ここに来て数日であの3人はどれだけ好かれてるんだ。」


 町長が呆れたように言ってくるが、俺達は普通に生活してるはずだ。


「結果的にこの町の人達が親切でのりがいいって事ですかね。」

「そうだね〜私もここの人達は皆優しくしてくれるよ。」

「あぁ。私達もいい経験になった。」


 ひと通り紹介が終わり俺達はスタート地点に立つ。


「いよいよ始まります!3人はどんな試合を見せてくれるのか!?」

「楽しませてくれよ。行くぞ!よーい…ドォン!」


 高らかな銃の音と共に俺達は走り出した。

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