第75話 周りはどうなんだ?

静かな広場。

今はこの広場に居るのは…男女ペアが多い気がする。


「…もぐもぐ。今日はいい天気ですね。」

「…もぐもぐ。う、うん。」

「…もぐもぐ。これ美味しいですね。」

「…もぐもぐ。う、うん。」


これはあれだ…会話が続かない。

よくよく考えれば、女の子と2人っきりになった事ないし。

周りはどうなんだ?


『はい。あーん?』

『あーん。』


周りを見ても同じような事してるし。

隣の網野さんもそれを見ていた。


「「…。」」


これはやるしかないのか!?


「あ、あの。あ、あれは。」

「や、やりますか?」

「!!む、無理でひゅっ…!?」

「だ、大丈夫ですか?」

「…(こくこく)。」


そのままゆっくり時間が過ぎていく。


「では、行きましょうか。」

「は、はい。」

「…。」

「…。」


昼食を終えた俺達は広場から出る。

その後ろに網野さんが着いてくる。

そして俺は立ち止まる。

網野さんも立ち止まる。


「…?」

「網野さん?俺どこに行けばいいか分からないんですが。」

「そ、そうでした。こ、こっちです。」


今度は俺が網野さんの後を着いて行く。

広場から歩いてすぐに目的地に着いた。


「ここは…学校ですか?」

「う、うん。つ、着いてきて。」


俺達はそのまま学校の中に入って行く。


―こんこん。


「失礼致します。」

「あら?お嬢さんどうしましたか?」

「町長よりお話を頂いた網野と申します。」

「これは申し訳ありません!あまりに可愛いかったんで。」

「…ふふ。」

「…翔。」

「いえ。笑ってませんよ。」


見た目だけならここに居る学生とあまり変わらないからな。

ちょっと可笑しくなってしまった。

それより学校なんて久しぶりだ。

先生に連れられて、俺達は移動する。


「そう言えば、網野さんはここに来たことあるんですか?」

「いや。ここは町長に聞いていただけだ。」

「へぇーなんでまた俺達に依頼・・を?」

「私達がバド部隊だとしっての事らしい。」

「それでですか。」


それで学園に来てから網野さんの口調が変わったのか。

バド部隊と何の関係があるかまでは分からないけど。


「はい集合!数日だけだが指南をしてくれる網野さんと…」

「兵頭だ。」

「兵頭さんに来て貰った。あいさつ!」

『『よろしくお願いします!』』

「すまない翔。私1人では手が足りそうに無くてな。」

「依頼ってこれですか?」

「あぁそうだ。今日はこの者達を鍛え上げるぞ。」


ざっと見て20人くらいか?

確かに1人ではきついかもな。


「なーなー。この人達強いのか?」

「そーだなー。知らない人に突然言われてもな。」

「こら!お前達なんて失礼な事を!」

「問題ありません。それもすぐ理解させるので。」

「え?」

「翔!構えろ。本気でこい!」

「へ?あーはい。ラケット借りていいかな?」


突然来た人に、いろいろ指示されても嫌なのも分かる。

それをすぐに理解させる。

実際見せるのは確かに効果的だとは思う。

だけど、逆効果な気もしなくないけど。


「さぁ!こい。翔!」

「網野さん。バドやりたいだけでは…。」


まぁなんでもいいか。

久しぶりに楽しむ事にしよう。

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