第10話 これは寝れない。

網野さんに着いて行く。陣から陣へと移動する事5回。

俺達は案内された部屋の前に着く。


「つ、着きました。こ、これがキーです。あ、明日の7:30頃迎えに来ます。そ、それでは、ごゆっくり…おやすみなさい!」


網野さんはキーを渡して、明日の事を伝えるとそそくさといなくなった。俺はそこで気づくべきだった。扉が1つでキーも1つ。そう相部屋だと言う事に。網野さんが終始どもってたのは何か良からぬ事を考えてるのでは…。


「お部屋結構きれいだねー。あ、シャワーもあるよー。私入っていいかなー?おーい翔くん。ま、いいか。先入るねー」


これはいかんよ。年頃の男女が同じ部屋とか。

よし!今から連絡して…しまった!連絡方法が分からない!学園長の所に行くにも道すら分からない。

そうだ、ベランダで。…無いのかよ!


よし。諦めよう。今こそ大人な対応だ。ただ寝るだけじゃないか。落ち着け俺。

喉が渇いた水を飲もう。ゴクゴク。ふぅ。


む。トイレに行きたくなってきた。トイレは…まさかのユニバス!しかも先輩シャワー入ってるし、いつの間に。

とりあえず椅子に座って落ち着こうか。

なんか落ち着いてきたな。


ガラ。


「ふぁーさっぱり!翔くんもシャワーしてきたら?」

「な!?」


長い黒髪が濡れていて、月明かりで少しキラキラしている。引き締まった手脚に目を奪われてる俺に、首をかしげる先輩。綺麗だ。

いやいや!それよりバスタオル1枚だと!なんと言う攻撃力!?

俺は大人だ。大人だ。大人だ。おと…


「おーい翔くん?ぼーっとしてどうしたのー?」

「いえ!シャワーしてくるであります。」


俺は逃げるようにシャワーに向かう。頭からシャワーをかぶり頭を冷やす。冷たい。

なんとか持ち直しす。


「ふー。さて、行くか。」


コレからが大変だろう。と思い。部屋に戻る。

先輩は…。


「ね、寝てる?」


ソファーで眠る先輩。どこからか出したパジャマも着てる。

べ、別にバスタオルは期待してないぞ。うん。


「和歌先輩?風邪引きますよー」

「んー…すぅ」


髪も乾かしてある。どこにドライヤーが?この環境に慣れるの早くないか?

まぁいいか。ベッドに寝かせる為に抱きかかえる。シャンプーの香りが…

無事ベッドに寝かせる。


「何もしてません。え?何も出来ないって?はい。しませんよ。」


独り言で気を紛らわす俺。

そしてバスローブでうろうろする。パジャマとかどこから出てきたのか。

…寝るか。なんか疲れた。

思えばここに来てからまだ1日目なのか。

ベッドじゃ…寝れるわけがない!ソファーあるし。そこだな。

今日あった事を思い出してみる。


「和歌先輩はマジで俺の事を弟に見てるのか?同じ部屋で簡単に寝てるし。いや、きっと疲れてるんだろうな。いつも通りにも見えたけど、ちょっと元気良すぎな気もしたな。ちょっと気にしておこう。やっぱり女の子だし。俺が和歌を守る……やべぇ。恥ずかしい。寝る。和歌先輩おやすみなさい。」


こうして異世界での1日目は終わるのであった。

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