第7話 ここは異世界ですか?

俺は学園長に学校の帰り道で気がつけば森にいた事、熊さん追いかけられて兎さんに助けて貰った話をした。


「あぁ熊さん速かったねー。でも私を担いで走る翔くんも速いけどねー。」

「そんな事ないっすよ。和歌先輩が言っていた通り、二足で走るから遅かったんですよ。」


熊さんとの逃亡劇を随分前の事のように懐かしむ俺と先輩。それを聞いていた学園長は引きつった顔をしている。


「ぬ、主ら。よく生きておったな。」

「「え?」」

「ペティットが来たから大事にならんかったのもあるがの。主らが熊と言ってるのは、おそらく『フェイス』の事じゃろうな。」


俺と先輩は首をかしげる。その後の言葉を一瞬止まる。


「フェイスは、この森で危険度Aの魔物じゃ。逃亡劇して生きてる事象なんぞ、わしは聞いたことはないくらいじゃ。」

「…そ、そ、そ、そっか。私が生きてるのは2人のおかげなんだね!!2人ともありがと!!」

「……あ、あ、ありがとう!」

「きゅきゅ!」

「気にするな!だって。」


先輩がお礼を言ってるから、俺もつられてお礼をいった。

兎さんの言葉に先輩が通訳する。

てか、学園長がさらっと怖い事を言ったぞ。

あの熊さんかなりやばいのか!戦うなんて選択肢を考えないで良かった。逃げる選択したのも無謀だったのか?

学園長は続けて話す。


「ふむ。生きてるんじゃ。良かったではないか。」

「…そ、そうですね。」

「……。んー。」


学園長に言われ、俺はとりあえず返事をして。考え込む先輩。


「和歌先輩?どうしました?」

「んー。あのー。ペティットって…誰の事?」

「……和歌殿。その兎の名じゃ。聞いておらんのか?」

「そう言えば自己紹介もしてないね。よろしくね!」

「きゅ!」


先輩のペースで話は中々進まない。学園長はなんだか疲れたご様子だ。

それもそうだろう。先輩が一つの部屋にじっとしてるこの状況は奇跡に近い。

うーん。どうしようかな。動く場所さえあればな。


…ん?そう言えば学園の話で運動がどうのって言ったな。


「学園長そう言えば、運動がどうのって言ってませんでした?」

「あ、あぁ。そうじゃな。」

「ん?運動できるのー?どんなのあるんですか?」


お、食いついてきた。脱線しつつある話を元の方向に戻せそう。

学園長あとは任せた。魔法の運動か。剣術とか武術かな。


「そうじゃのー。サッカー、野球、バスケ、バレー、テニスに」

「ちょ、ちょ、ちょ。ちょっとストップ。」

「なんじゃ、今度は翔殿か。何じゃ?」

「いや、魔法絡んで運動って、武術ではないのか?何でスポーツ?」


学園長の話に今度は俺が突っ込む。だって魔法がどうのって言ってたじゃん。

ここ異世界じゃないの?魔法があって、魔物がいるんだよ。ここはやっぱり日本のどこかなのか?


「翔くん。話を折っちゃダメだよー。学園長ーバドないですか?」

「バドかえ?バドミントンの事かの?」


あれー?先輩と学園長は話が通じてるっぽい。あれか。ここは聞いておこうか。


「あのー?ここは異世界ですか?」

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