第2話 ある日、森の中での事。
てな訳で森にいます。
俺の住んでいた町には森なんてなかった。山の方に行けばないこともないが、いつもの帰り道にはない。
するとここはどこだ?ワープした?車に吹っ飛ばされたとか?
んーと考えていると、隣にいた先輩が…いない!
「って先輩!?和歌先輩どこ行った!?」
かなり先にいた。元気良く手を振ってこちらを見ている先輩がいた。
「おーい。置いてくよー。」
「ど、どこ行くんです?この森知ってるんですか?」
慌てて追いついた俺に先輩は自信満々にこう答えた。
「しらないよー。でもとりあえず歩こうか。じっとしてるのやだもん。」
…この行動力。さすが部長。とりあえずじっとしていない。
部活の勧誘やら、問題ごとにも後先考えず、進もうとする行動派の彼女は部活で部長をやっていた。
いつも彼女の暴走を止めるのは、親友兼副部長の友達だった。だけど今ここにいるのは俺だけだ。
…俺に止められるだろうか?今はここにいない副部長。木漏れ日の先に感じた気がして見上げる。
「どこ見てんのー?着いてきたえー♪」
「あ、行きますから、一人で行かないでくださいよー」
無理でした。森も気になるが、先輩を見失わないように着いて行く。
歩きながらでも、考えられるかと気持ちを切り替えて進む事にした。
鼻歌交じりに和歌先輩は突き進む。ハイキングコースかのように歩きやすい道。
登る訳でもなく、かといって坂みたいに下る事もない。ただただ真っ直ぐな道。
黙って歩くのも飽きたのか先輩が話しかけてくる。
「翔くんは、こんな風に歩いたことってある?」
「んーたぶんないですね。和歌先輩とはいつもの帰り道くらいっす。」
「いやいや。私とじゃなくて他の誰かとだよー」
「他の誰か?他の…和歌先輩以外が思い当たらないっすね。あれ、俺友達いないのか?」
誰かと歩く。なんて今まで別に気にしていなかったけど。一人でいる記憶しかない。
そもそも、高校生が散歩?みたいな事自体しないと思う。用もなければ外に行く事も特にない。
あれ、実は俺ってボッチだったのか?なんだろう、急に泣けてきた。
「まぁうちの学校、電車で通う子多かったし。自転車はいても、歩いて学校来る子もあんまりいないかー」
「そ、そうですよね!俺はボッチじゃないですよ!」
ボッチ?と並んで歩く先輩が首を傾け俺を覗いてくる。
っう。ときどき先輩は仕草が可愛い。
いつも部活では長い髪をまとめて、部員にびしっと指示を出し。とても頼れるいい先輩。
時々迷走したりするけども。それは行動派なんだよー(本人談
今は長い黒髪を下ろしていて行動力はあるが、ふわっとした感じがして一般的に可愛い仕草を熟知してるかのようなあざt…可愛さだ。
木漏れ日の中、二人で並んで歩く。いつもとは違う場所だからか顔が赤くなるのを隠すように、俺は首を振って話題をそらすために話し出す。
「ちなみに、和歌先輩は?」
「ないよー殆ど自転車だったし…森を歩くのは中々に気持ちが良いね。」
再び鼻歌交じりに歩き出す先輩。
俺は内心デートみたいだ。なんて思っていたが、それも唐突に終わりを告げた。
冗談みたいなやつの登場によって。それは鼻歌どおりに…。
あるーひー。もりのなかー。くまさんに。
―ガサ!!??
であーった。
「「え?」」
花は特に咲いてないけど。熊さんに出会った。
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