将門の過去 日輪の如くアヅマに輝く
第17話ガイセンと過去を探る
東国の乱を
秀郷は巻き起こる大歓声と
そんな中、馬上で手を振りながらも、引きつった顔を見せる
「おい、
貞盛は口を広げ、固まったままの笑みのまま返す。
「こんな
周りから
「
「裏切り者」
視線の先、そこには人足に担がれ、運ばれていた首桶……
「朝廷に
「人じゃない」
秀郷と貞盛は不穏な気配を感じとり、下馬し……腰に刺した刀に手を伸ばし、いつでも動けるように少し足を広げて立つ。
「鬼だ!」
何処から飛んできたか、その言葉により、
民達が
「しゃら!」
短い掛け声と共に
秀郷は民を見ながら渋い顔をする。
「邪気に当てられたか、それとも……いや、よいか……
秀郷は符を両手に掴み、空に向かって大量にばら撒く。――
「あれ、なんで?」
力が抜けたのか、膝を折る者が出始める。
「なんて事を……」
貞盛はゆっくりと、左手に持った
「我が
貞盛から怒気と殺気が入り混じった大声。――市井の者には酷である程の、力が篭った声が辺り一面に響き渡る。
「これより、将門の首に石などを投げつければ、この平貞盛に石を投げつけたものと思え! 俺は石を投げつけた者の首の保障はせんぞ!」
人々は貞盛に
「では、叔父上……行きましょうか」
その顔は知らずのうちに、何処か――変わってしまう前の、将門に似ていた。
「うむ、行くか」
秀郷と貞盛に率いられ、将門の首は
道行く人々は
秀郷と貞盛の二人は鎧ではなく、
そんな折に
「
忠平より、威厳のある、重たい言葉が飛ぶ。
「陛下も大変、およろこ――」
「伯父上、人払いは済ませてあるから。……そんな
ひょっこりと出てくる朱雀天皇は、その鈴のような声で、忠平の言葉を途中で遮る。
「いやしかし、大事なこ――」
「
又もや、忠平の言葉は遮られる。――悪戯な笑みを浮かべる、朱雀天皇。
「はっ!」
秀郷と貞盛が顔を上げる……そこには頭を抱える忠平と、
「さっきのちょっとした騒動は
少し顔を伏せて申し訳なさそうにする。
「陛下、大丈夫ですよ! あれぐらいの事、修羅場や化け物に比べれば」
どんと胸を叩き、誇らしげな顔をする貞盛。
「
朱雀天皇は顎に人差し指を当て、少し頭を傾げながら、考え込む。
「魔や
にこやかに笑う貞盛と朱雀天皇。
そんな貞盛を横目に見ながら、隣でさらに
「陛下……将門を操っていた者までは発見できませんでした。――
ぎりっと歯嚙みをしながら、秀郷は
「
秀郷の言葉を聞き。一寸だけ、キョトンとし、次の瞬間にはからからと笑う朱雀天皇。
「
ゆっくりと朱雀天皇は将門の首桶に近づいて行く。
「でも、もしかしたら……
うんうん、唸りながら首を
「たしかにそうですが、将門はこうして首だけになっておりますし……どうやって話を聞くのでしようか?」
朱雀天皇は、にこりと貞盛に笑みを向け、ぴしりと首桶に扇子で指す。
その姿を見て、さらに首を傾げる貞盛に近づいて
「首を通じて、その魂に呼びかけるって事だよ!」
朱雀天皇は勢いよく、首桶と対座するように座る。
藤原忠平は、とんとん拍子に話が決まり……付いて行けずに座して、ゆっくりと見守る。
「藤太は準備が出来たら開けて。平太は何が起こっても自分の成すべき事を成してね」
意を決した顔をし、こくりと頷く。
「では、陛下……開けます!」
秀郷はそろりと、首桶の蓋を持ち上げ開ける。――そこには将門の首。
その顔は……全てを憎み、呪いそうな程、恐ろしい形相を浮かべている。
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