第9話コガネに狂う
女は大きく胸元が開き、金銀の龍の
「
「良い事……ね、ふふふ。余を
さらに上機嫌に杯を
「今頃、
酔っているのか、赤ら顔で、ふらふらと手を侍る女に伸ばす。
「全ては君のお陰だよ、君を拾ってから余は幸運に恵まれたのだ。美しい余の
「私も幸せですよ、
指を吸いながらも、
「さあ、興世王さま……寝る時間ですよ」
妖しく輝く瞳を見た
「うふふ、
屋敷の外での
「その為にはもう少し……
「叔父上、これは落とすのは困難ですぞ! 士気も高く、敵ながらよく守っています」
高所から矢が
「火を放つぞ! 全てを
秀郷は
「了解しました、叔父上。――楽しい
指示を受けた全軍が手早く、矢に布切れを巻き、油を浸し火を付けていく。
「全軍、構えろ! 合図と共に一斉に放てよ!」
貞盛の号令で弓を持つ全員が――キリキリと音を立てながら、
「我らの火は
秀郷の合図で火矢が一斉に放たれる。――無数の火矢が空を埋め、太陽のように赤々と輝き、落ちていく。
火が徐々に大きくなり、それは草木も建物も命までも等しく燃やし尽くす
「よく燃えますな。これなら奴らも火の対処に追われて進めるようになりますな」
「ふむ、将門を討ち取る好機じゃ、行くぞ!」
焼けていく建物を見ながら進んでいく。――わらわらと火も恐れずに将門の兵たちが突進してくる。
「我らの
「
その目は
無統制に
「こいつら、もう人じゃない!」
「やめてく……あ、ごぶぶ――」
何人かの秀郷の兵が組み伏せられ、何度も何度も喉元に刀を突き立てられる。――口元から
「
秀郷の大弓より放たれる矢は三人纏めて貫く。――
「叔父上、将門の姿がまだ見えませぬ……どこかに逃げたのでは?」
「いや、奥におるぞ! 異様な
まだ火の手が回っていない奥にある、一番大きい屋敷を見つめながら答える秀郷。
「ならば、ここの
貞盛が最後まで言い切ろうとしたところ、大きな破裂音が奥の屋敷から響く。――その音に驚いた馬が秀郷と貞盛を振るい落とす。
「ぐ……一体何が」
秀郷は大鎧を
「貞盛……大事ないか?」
秀郷は貞盛に手を差し出し立たす。
「叔父上……
わなわなと震えながら音のした屋敷を指差す。
屋敷は半壊しており、その瓦礫の中から、ゆらりと体を揺らしながら出る影。
貞盛でも見て分かるほどの禍々しい気――幾重にも重なる気を纏い、上半身が裸の男が立っていた。
「我は
耳を
「この前ぶりじゃの将門……約束通り、お前さんを斬りに来たぞ!」
「じじい……
将門は手には何も持たず、ゆっくりと歩み寄ってくる。
「将門……将門! 親父殿の分だ!」
貞盛は将門に駆け寄り、将門の首を落とそうと刀を振るう。将門は一切動かず首にその刃を受け、首は斬れ――
「な……斬れていない――」
将門は貞盛の首根っこを掴み上げる。
「この不死身の肉体には傷一つ付けれないぞ、貞盛!」
首を掴まれた貞盛は手足をばたつかせ、将門を殴るが
「その手を放せよ、
秀郷は駆け寄り、将門の腕を両断しようとする。――が、将門は貞盛を投げ飛ばし、
「じじい、
怪力により将門は不利な体勢から、秀郷は弾き飛ばす。
「ちっ……長い夜になりそうじゃの」
飛ばされた秀郷は体勢を整え、汗を拭いながら
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