#2 永倉美緒side
長かった就任式が終わった。私は希と帰るために希のところへ行こうとする。希は矢澤先生と話をしているみたいだ。話を終えると希は困り顔でこちらに向かって走ってきた。
「奈緒、ごめん、ミーティング入ったんだ…。」
「大丈夫だよ。てか、待ってる。ミーティング頑張ってね。」
「わ、ほんと!?じゃあごめん、待ってて!」
そう言うと、希は理科室に走っていった。
本当は早く家に帰って、CD屋さんに行くつもりだった。希を置いて帰ることだって出来たはずだけど、私のかけがえのない友達だし、矢澤先生のミーティングも気になった。私は理科室の近くにあるベンチに腰掛けて希を待った。ぞろぞろとテニス部が理科室に入っていく。
「なにしてるの?」
「えっ…。あ…神崎を待ってるんです。」
「そっか。ごめんね、5分で終わらせるから。」
「いえ、大丈夫です。ごゆっくり…。」
急に話しかけてきたのは矢澤先生だった。落ち着きがあって、低めの声が嫌味なく私の耳に入ってくる。
理科室の中の会話ははっきりとは聞こえなかったが、先程聞いた矢澤先生の声は私の鼓動を高鳴らせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます