#1 神崎希side
「部長は希ちゃんです!はい、拍手〜!」
パチパチパチパチ
去年の夏。三年生の引退カップ終了後、盛大な拍手が私を包んだ。
私は、先輩達によるミーティングで部長に任命されたのだ。嫌ではない。
寧ろ、嬉しかった。
私は小さい頃から目立ちたがり屋で、小学生の頃は6年間ずっと学級委員をやっていた。中学校でも委員会に立候補してきた。その矢先での部長である。部活の中のトップ。行事の場面でも何かと目立つことの多い部長は私がやりたかった役目の1つでもあったのだ。
「ありがとうございます!先輩方に推薦していただいたからには、期待に添えるよう、精一杯努力します!!」
あれから半年程の月日が経った。
私は部長として部活を仕切ってきた。今までと変わらず、先輩が辿ってきた道を、先輩の足跡をそっくりそのまま踏みながら、平凡な部活をしていた。
3月。卒業式が終わって離退任式が近付いてきた。そんなある日、1枚のプリントが配られた。そこには今年学校を離れる先生方の名前が記されていた。その中に、テニス部の顧問の先生も居た。
4月。顧問の先生が居なくなってからも私たちの部活は変わらなかった。実際、顧問が生徒重視の部活動をやってきていたからであった。
そんな中、就任式で発表されたテニス部の顧問は少しボーイッシュな若い女の先生だった。就任式が終わって挨拶をしに行くと、ミーティングの呼びかけをするように言われた。奈緒と帰る約束をしていたのに…。
「奈緒、ごめん、ミーティング入ったんだ…。」
「大丈夫だよ。てか、待ってる。ミーティング頑張ってね。」
「わ、ほんと!?じゃあごめん、待ってて!」
奈緒は優しい。私に気を使わせまいといつも動いてくれている。いつも自分の事を後回しにして誰かのことを考えている。だからこそ、時々しんどそうでもある。そんな時私は必ず奈緒の隣に居てあげると決めている。
私は奈緒が好きだから。
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