しりつたんてい

「探偵?」

「そう。探偵」

「そんなの何処に求人があったんだ」

「え?雑誌には載ってなかったケド」

「雑誌にすら載ってないだと!?大丈夫なのか、その探偵とやらは」

「だいじょうーぶだいじょうぶ。ちゃんと危険手当も出るって言ってたし」

「危険手当!?なにぃ!?ということはやはりしっかりした仕事じゃないんじゃないか!?やめなさい。悪いこと言わないから」

「なんで?万が一があるからねーって言ってただけだよ?」

「・・・・・・やめろやめろ!万が一としてもお前に何かあったらと思うとアレだ!いまから行って断ってきなさい」

「なんで!?市立だよ!?」

「私立!やっぱりろくでもない所らしいな!やめろったらやめろ!」

「何のために特殊なSPIの勉強もしたと思ってんの!?・・・ぜったいやめないから!!」

「えすぴーあい?S、P、I・・・・・・スパイじゃないか!?なんてもんを勉強してるんだ!!」

「はぁ!?何言ってんの!?ついに頭の中までボケちゃったの!?」

「中ぁ!?中とはなんだ。外がボケてるとでも言うのか!?」

「そーです〜!おかあさんもわたしも黙ってたけど最近ハゲてきてます〜!」

「なっばっ、バカな!!そんなはずは・・・」

「初任給で育毛剤買ってあげるからおとなしくつけとけば〜?」

「えっ・・・・・・あ、しょ、初任給!!初任給なんて認めないからな!!」


「初任給認めなかったら永久のニートでしょうに」

「さ、幸恵!話を聞いてくれれば分かる!」

「おかあさんずっとそこに居たよ」

「まじで」

「マジマジのマジよ。吹き出しそうで吹き出せなくて困ったわ」

「だよね。誤解が面白くかみ合ってないというか」

「え」

「さっすが我が娘!言いにくいことをわかりやすく言ってくれるね!」

「さっすがおかあさま!誉めかたに独創性がありますわ」

「どういうこと」

「「おほほほほほほ!」」


「じゃあ改めて。これを見て」

「何?免許証・・・・・・市立探偵!?あ、市立って市の!」

「そうよ。わたくしの方と勘違いしてたみたいだけどねぇ。美恵も晴れて公務員ってワケ。一介のサラリーな誰かとは違ってね〜」

「そのとおり!安定した職業オブ職業なんですよマイファザー。おわかり?」

「・・・・・・多大なる誤解に謝罪します。この度の名誉毀損については何らかの甘味の献上でご容赦いただきたく・・・」

「山寺堂のプリンで!」

「ははーっ」

「あ、私のもおねがい」

「え」

「このしょうもない茶番によって掃除機による家事が遅延しております」「承知しました・・・・・・・・・財布だいじょうぶか?」

「あらお父様?ご心配が漏れておいででしてよ」

「誰のせいだ、誰の」

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