16.寂しがりやさんのベッド

『こっち来いよ』

 灯りを消した暗い部屋の中、あのダブルベッドへと連れて行かれる。

 白いアップシーツに紺のベッドカバー、水色のシーツ。色彩が彼らしくないように感じた。

 しかもベッドヘッドにクッションにもなりそうな大きな枕が三つも立てかけてある。

 一人暮らしなのにダブルベッド、一人なのに枕が三つ? ダブルなら二人で寝るのに枕が三つ? 困惑しているうちに、がっしりと琴子に抱きついている英児に、そのまま勢いよくボンとベッドに押し倒される。

 また彼の胸の下。彼の体重任せに強く押し倒されたので、乱れた黒髪が頬を覆い、琴子の視界を遮った。見下ろしても琴子の目が見つからないからなのか、英児の長い指先が優しく黒髪をのけてくれる。やっと合う瞳と眼。見つめると暗がりなんだけど……、オニキス玉のように妖しい光を湛えている強い意志を持っていそうな彼の黒目に、きちんと琴子が映っていた。思っていたより、窓辺にあるベッドは明るかった。窓の外から入ってくる街の灯りに店先の照明。ベッドはほんのり明るく、琴子の瞳と英児の眼をはっきりと映している。

 でも、甘く見つめあっていたのは一時。

「やっと琴子に触れる」

 英児の手が器用に、白いスカートをするっと脱がしていってしまう。

 本当にやること迷いがなくて早くって……。

 仄明るいベッドの上に、黒いシフォンブラウスに白いショーツ姿になった女を男がひと眺め。

「琴子っぽい」

 満足そうに微笑む英児の指先が、琴子の腰にちらりと見えている黒い紐をひっかけてひっぱった。

「下着まで『水玉模様』、ブラウスとお揃いにして、ほんとうに女の子らしいな」

 琴子がアウターに合わせて選んだショーツは、白無地だけど、リボンがブラウスと同じ黒地に白い水玉。しかもちょっぴり大胆に腰だけ水玉リボンの紐というもの。

 それをじっくり眺めてくれるのかと思ったら、彼の大きな手がまたまた小さな白いショーツを琴子の足に沿って滑らし、さらっと脱がそうとしている。

 『やること早い』と解っているけど、琴子が知っているいつもの英児を凌駕している。

 え、え、なんか今日の英児さん、この前とちょっと違う? 戸惑っているうちに、琴子のつま先から白いショーツがぴんと弾けるよう飛んでなくなってしまった。英児がどこかに無造作に放っていた。

 それだけじゃない。英児は不敵な笑みを唇の端に湛えたかと思うと、また迷い無い長い指が琴子に触れる。

 英児が探しているもの。そこを愛されたら琴子が泣いて泣いてどうしようもなくなるところを探しているがわかった。

 彼の指先を許している琴子は、そんな彼の指先を見つめている。ふんわりとしていた黒いシフォンのブラウスも、英児になぎ倒されたかのようにふくらみを無くして琴子の身体の線を醸し出している。そのブラウスの裾のすぐ下、窓からの明かりにくっきりと浮かび上がっている自分の白い肌。明かりを頼りにして、彼が絶対に直視して欲しくない女の秘密を剥き出しにしようとしていた。

 本当なら、ここで顔を覆ってしまいたい。『あなたに任せるから。私がいま、こんな格好をしているだなんて、私に教えないで。目をつむっているから、気持ちよい感覚だけ私に与えて』とばかりに。でも、琴子はそれを自ら直視する。明かりに浮かび上がる自分の、剥き出しにされた秘密を欲しがっている彼の顔を見つめている。

 そんな淫らな自分を冷めた目線で観察しているかのような琴子の目と、夢中になって女の秘密を探索していた英児の目が合った。彼が琴子のそこでふっと笑った息がかかった。

「琴子も……この前みたいに、手伝えよ」

 それにはちょっとばかり抵抗を感じ、琴子は恥じらって今度は目を閉じた。

 彼はわかっている。『この女、この前のセックスである程度肝が据わった。それならもっとすごいことしようじゃないか』。冷めた女の目に負けん気の男的挑発。男の思うつぼ、女はそこには恥じらいを見せる。

 淫らな格好より、淫らな行為の方がいまは恥ずかしい。『この前みたいに』。初めて彼と愛し合ったというのに、あの夜、野生じみた交わりに没頭してしまった琴子がしたこと――。琴子が悦びそうなことを彼が懸命に探すから、琴子自ら『ここよ』と白い指先で教えた。

 その互いに探し合う行為は、琴子が恥じらいを捨てたから他ならない。だがそれも慣れた英児の上手いリードがあったから、『ここ?』『どこ?』『もっとかわいい声になるんだな』『ほら、教えて』。英児の巧みなリードはやがて『ここなの!』と女の口先と指先に自白させる。

 それを共に重ねていくうちに、琴子は月の光の中に自分が消えていくのではないかというほどに、空に向かって儚く崩れていった。

 あれを今、同じようにやろう。それには俺だけでは駄目だ、琴子も一緒にやるんだ。それが英児の『手伝え』。

 だから、この夜も琴子はあの入り江の夜のように、夜明かりの中、すべてを開くようにして、すべてを明かすようにして……、手伝った。

「このまえと一緒になってきた」

 くんと英児の鼻先が得意げに動く。

 あの夜と同じ匂いを琴子もいま感じている。自分の身体の奥から出てくるだけじゃない、男の身体からも発揮されている。

 俺だけの匂いだと琴子に言ってくれた男が、満足げに微笑んでいる。甘い毒を隠していただろう。ここにほら、こんなに。見つけたからには、吸い尽くしておかないと。また溜まって疼いておかしくなるだろ。そうなる前に、俺が……。そんな英児の声が聞こえてくるような気がした。

 すっかり暗くなった夜空。彼のこの部屋の窓にも小さな星が灯る。それでも琴子の甘い毒は尽きるはずもなく、とめどもなく溢れてくるだけ……。

 そうして女の毒を堪能する男もまた、官能的で野性的な匂いを放って、女の身体の奥にあるものを刺激している。

 お互いの匂いと毒を確かめ合った後のキスは、熱くて毒の味がする気がした。甘くて苦い、そして野生の匂い。

 互いの吐息で混じり合うそこに、濃密な野生の匂い。もう、その行為に引きずり込まれているだけで、琴子はまた、入り江の夜のように、自分が自分でなくなっていく感覚に痺れ始めていた。

 ああ、あられもない牝になってしまう。

 でもそれは琴子だけではない。英児も……。

 この前と違った。愛し合うまでひとつになるまで、英児はじっくりと愛撫を施して愛してくれた。なのに今日は、今日は。

「ごめんな。すげえ我慢していたんだ」

 ううん。いいの、いいの。声にならなくても、琴子は彼を見つめてそれを伝えた。それを英児もわかってくれたかのように微笑み返してくれる。

「……おまえも……おなじ、みたいだな」

 言葉を返す気もなくなるほど。琴子の身体がもう隠しようもない返事を彼に伝えている。

 そう同じよ。英児と同じ。私もこうなるの、待っていた。

 あれから、残業を終えた琴子を迎えに来た英児は、帰りは遠回り。人のいない河原沿いの道に車を止めて、すぐに琴子の肌を探る。熱くて甘いキスを交わしながら、そして肌を愛されながら、でも……二人でいろいろ話してから帰った。それでもほんの短い時間だから、名残惜しい切なさがいつまでも二人を離さなかった。挙げ句に、本当に『ホテルに行こうか』と二人揃ってその気になりかけた日もあった。

 でもそこを堪えたのは英児自身。『俺の部屋でゆっくり抱きたいから』。時間を気にしないでじっくり。琴子も仕事で疲れた身体で急いで愛し合って帰るよりかはそれがいいと、琴子自身も『言い聞かせた』。

 つまりそれは琴子も、『非常に我慢していた』。

「俺もだけど。琴子もすごいな」

 初めて抱き合った夜は、英児も琴子を大事に扱ってじっくりと肌を愛してくれた。だから琴子も、じんわりゆっくりと、彼の熱さを感じていた。

 でも今日は――。

 この前は優しかったのに、今日は痛いくらい激しくて。

 でも琴子は痛いとは言わなかった。痛いどころか、強く扱われるているのに甘い熱さしか感じない。

「英児……、えい……」

 うわごとのように彼の名を呼んだ。

 今夜の彼は優しくない。女を逃げ場のないベッドの奥に据え置いて、窮屈な格好をさせて、自分の胸元に小さく収まるよう両腕の中に押し込んで、力一杯激しく琴子の身体の中に食い込んでくる。

 優しくない。今夜の彼は野獣――。

 まるで食いつかれて襲われているようだった。

 なのにその野獣の眼差しが優しく、熱っぽく、とろけるように琴子を見つめて離さない。そして琴子も離さない。

 琴子を小さなところに閉じこめて愛してくれる彼の唇を、琴子から求めて愛した。

 英児、英児。好きよ、大好き。ほんとよ。

 そう呟きながら、彼と熱い吐息を分け合う。

 このベッドに来てから、そんなに時間は経っていない。

 じっくり肌を隈無く愛してくれた男もいない。今日は急速に襲ってきた野獣と愛し合っている。そして琴子は野獣の責め苦にもう甘く溺れている。

 もうだめだった。わかる、もうだめだって

 ゆっくりじっくり愛し合うと思っていたのに。あっという間に墜ちてしまうなんて。

 ぐったり、力が入らなくて、声も出ない。そんな力を抜かれてしまった琴子を見ても、今夜の英児は容赦ない。むしろ、悠然と微笑んでいる。

「これで終わりだと思っているのかよ」

  標的の女を全裸にした野獣が、琴子をベッドの上へと押し倒す。

 でももう、琴子は力も入らないし、声も出ない。ただ息絶える前の獲物のように、彼の胸の下に従うだけ。

「ゆっくり、じっくりだろ。それ今からだから」

 勝ち誇った笑みを見せながら、熱い息で耳元に囁く野獣。

 琴子は目をつむった。まだ、これから……? 心臓が持つか、本気で心配した。男とこうして全力で愛しあうと、心臓が大きく脈打つことを知ってしまったから。

 でも意地悪な野獣は、まだ自分が満足していないから許してくれない。本当に容赦なく、狙った女にも獣のような姿を望む。

 だから余計に。シーツに頬を埋め握りしめ琴子は覚悟して目をつむる。

 もう彼の思うままに、琴子は与えるだけ。なのに身体が甘く熱く悦んでいるのは自分も女獣になっているからなのだろうか。


       

 


 ―◆・◆・◆・◆・◆―


 


 ぐったりと横たわる琴子の上にも、息荒く果てた男が重なっていた。

 くたくたに果てた女がご馳走のはずの男が、今日は自分がくたくたになって琴子の胸元で休んでいる。

 幾分かしても動かない女が眠ったのかと心配する眼差しをやっと見せる。

「おい、琴子」

 頬を軽くはたかれ、ぼんやり薄目だった琴子は、ぱっちりと目を開ける。

「びっくりさせるなよ」

 ほっとした彼の顔。それだけ責めたくせに。その文句ももう言えない。

 やっと動いた男がのっそりとベッドサイドのナイトテーブルへ手を伸ばす。そこに置いてある煙草を取ると、口にくわえライターで火をつけた。

 暗がりにぽっと灯る赤い火、そして立ち上る煙。新しい煙草の匂いを嗅いで、琴子もやっと起きあがる。

 英児が枕を背に素肌のままでくつろいだ隣に、琴子も素肌のまま寄り添う。煙草を吸う彼にもたれると、彼が長い腕で琴子の肩を抱いて寄せてくれる。

 ふっと煙を吐いてひと息吐く彼が、暗がりの部屋で恋人を片腕に急に話し始めた。

「この店。俺の母親がもう長くないとわかった頃、建てたんだ。俺が三十になった頃な」

 琴子の目を見ず、やはり英児は空港がある海へと遠く視線を馳せている。

「俺さ。母ちゃんがけっこう歳いってから生まれたから、やっぱ、母ちゃんが末っ子末っ子てすごく可愛がってくれたんだよ」

「末っ子てそうらしいわね」

「兄貴二人は地道で真面目なリーマンで、ちゃんと嫁さんに子供がいたから安心していたけどさ。俺のことは残していくの心配だって。そんな時、俺、店を持とうとしていたから、母ちゃんがけっこうな金を出してくれてさ……」

 それがこの龍星轟とのこと。

「あんたは組織で上手く立ち回るのは無理だから、一人でちゃんと生計たてて、自分の場所をしっかり確立させておきなさいってね。遺産だっていわれた。だから俺、この店のここに住処もくっつけた。俺が帰る場所を作ったと知ったら安心するようにして逝っちまったよ」

 煙を吐くと、煙草を灰皿にもみ消し、英児はまた窓辺遠くの海を探している。

「で……さ、その時なんだけどさ……」

 急に歯切れ悪くなった。彼の抱き寄せる腕の力が少し緩んだ気がして、琴子も不思議に思い彼を見上げた。やはり琴子を見ず、彼は遠くを見ているだけ。

「言いたくないなら、いいんだけど」

 彼の隣で、琴子は静かに返した。なんとなく、言いたいこと解ってしまった。

「やっぱ。このベッド、俺の部屋には不自然だったか」

 気がついていた。それとも琴子が気にしている顔を見せてしまっていたのだろうか。彼が抱き寄せる腕の中、今度は琴子が固まった。

「母ちゃんが死ぬ前、俺、婚約していた女がいたんだよ」

 やっぱり、いた……! しかも婚約までしていた!

 琴子の勘が、いや、女の勘が当たっていた。では、やはりこのベッドは彼女と? 龍星轟が出来て、彼女と愛し合ったベッド? 彼女と選んだベッド?

 言葉にしなくても、琴子の見開いた目がそれを物語っていたのだろう。英児が慌てる。

「いや、その。そうじゃなくて」

 それを琴子に悟られたと察知した英児が、琴子を捕まえるようにきつく抱き寄せる。

「いいの。だって、私だってこの前まで彼がいたんだもの。あなたにだって恋人ぐらいいてもおかしくないじゃない」

 互いにいい歳。互いの過去を気にしてどうするのか。

 だけど琴子の半年前に別れた彼とは違うものを感じた。英児にとっては、何年も忘れられなかった婚約者ということになる。しかも未だにその時のダブルベッドを使っていて……。

「気分悪くしたなら謝る。でも、ここで女と寝たのは琴子が初めてだから。その女以来、俺、マジでつき合った女いないから。ほんとなんだよ。だから俺も五年ぶりぐらい。だから琴子にちょっと食らいつき過ぎちゃってさ」

「そんな、気を遣ってそんなこと言わなくてもいいのに。だって彼女の匂いなんてもうないでしょ」

「ねえよ。もう昔のことだろ。忘れた」

 でも、英児の中では残っているのかもしれない。きっとその女性は『自分と似た匂いの女』のような気がした。だって英児の嗅覚がとらえた女性なら……。

「ていうか。その女とここに住む前に、しかも母ちゃんが死ぬ前に、いろいろあって別れたんだよ。だからベッドも未使用。式場も結納の予定も予約も全てキャンセル。破談ってやつ」

 今度はもっと驚いて、琴子は英児を見た。

「どうして」

 式場も結納も? そこまで予定が決まっていて何故? 思わず聞いてしまい、はっと我に返る。

 そしてあのはっきりきっぱりしている英児がなにやら口ごもって、また目を逸らしてしまった。

「なんだろ。男と女で惹かれあうのと、家族が関わる結婚は違うってやつだよ」

「反対されたってこと?」

 彼が、元ヤンキーの、まだ店も軌道に乗っていない自営業者だから?

 でも英児が力無く呟いた。

「俺の母ちゃんと、上手くいかなかったんだ。いや、その、婚約したほどだから、元々母ちゃんも彼女を気に入ってくれて仲良かったんだけど。その、いろいろ、あって」

 はっきりとした原因があるはずなのに、それが言えないようだった。

 それがとても言いにくそうで。きっとそれだけ口にしたくないことなのだろう。

 なんでも堂々としている彼の、そんな思い出すのも苦しそうな姿が痛々しくみえてしまう。

 そんな英児が最後にはっきり言った。

「俺が最後に選んだのは、彼女じゃなく母ちゃんだった。女は去って、母ちゃんは逝った。兄貴と親父はもう既に出来上がった家族で暮らしていて、母ちゃん子だった俺には入る隙はもうなかった」

 ――だから俺は独りぼっち。

 やっと彼が言った一言の真意を琴子は知る。

「もう言わないで。私、あなたといる。これからも」

 琴子から彼の首に抱きついて、彼の黒髪の頭を抱き寄せた。琴子の白い胸元へ。そこにぎゅっと琴子は英児を抱きしめる。

 そこで、彼がふっと笑ったのを見た。

「ベッド、新しく変えるから」

 彼から琴子を抱き返してきた。胸元の彼を見下ろし、琴子は驚く。でも英児は笑っていた。

「一人で暮らしてきたから、ワンルームのようにしてリビングにベッドを置いてしまったんだけど。琴子とのベッドが来たら、そっちの寝室にちゃんと置くようにする」

「いいのよ。ここでも。英児さんがそれで暮らしやすいなら」

「いや、だってさ。琴子のお母さんにも、いつかここに遊びに来て欲しいから。娘をあんあんさせているベッドは隠すようにしたほうがいいだろ」

「なに、それっ」

 母にそんな目で見られるのは、さすがに琴子も耳が熱くなるほど恥ずかしい。でも、そんな。いつか母をここにと考えてくれているだなんて。

 嬉しくて、今度は彼の胸に抱きついた。

「俺も琴子と一緒で、前のこと忘れてなにもかも新しくするな」

「……うん」

 微笑み返したが、琴子の中で釈然としないものが少しだけ残る。

 本当に忘れてしまって良いことだったのだろうか。そう感じたから。

 でも英児はとっても安らいだ顔で微笑んでくれる。ホッとした顔で。

 

 そして琴子は知ってしまう。

 リビングにベッドがあったのは、一人きりの寝室で眠るのが寂しかったから。枕がたくさんあるのはひとつだと寂しい、ふたつだと彼女と暮らすはずだったことを思い出してしまう。だから、ベッドヘッドが埋まるぐらいにわからないぐらい増やした。それがちょうど三つで埋まる長さ。そして、いつも琴子と会ってすぐ、彼の手が早いわけ。

 ――私の肌をすぐに探すのは、あたたかみを求めているからかも。

 初めてそう思った。

 人肌恋しくて。やっと俺を暖めてくれる体温。だから琴子が目の前にいると、つい肌を探してしまう。

 触りまくりたいんじゃない。人肌に触れて、安心したいだけ。俺は独りぼっちじゃないって。

 そんな彼を一人きりにしたくない。

「英児、英児、一緒にいるから」

「なんだよ、琴子。もういいから」

 あの英児が困るぐらいに抱きついて、今夜は琴子が彼を離さなかった。


 

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