10.もう、何度も抱いた

 ねえ、どうして迎えに来てくれたの?

 どうしてか、後でわかるから。

 

 銀色のフェアレディZは、市街を飛び出し静かな海沿いの町をゆく。窓を開けると、潮の香り。

 長い長い海岸沿い。このまま行けばかなり田舎の漁村へ行く細い国道。静かな二車線の国道だけれど、潮騒と穏やかな海に癒される色合いに溢れている。

 それに今夜は月明かり。海に反射して、外灯が少ない国道もとても明るく感じた。

「大きな月」

 まだ昇ったばかりのよう。こんな拓けた海で見るととても大きい。

「ちょっと遅かったか。まあ、しかたがないな」

「遅かったって……、どうして?」

「それもあとで」

 ひたすら続く海の国道を走るが、彼は面白そうに笑うだけで教えてくれない。でもそれも琴子には楽しいものになっている。彼はいつも驚かせて、そして……最後は笑顔にしてくれるから。

 『着いた』と言って彼が車を止めたのは、海岸国道沿いにぽつんとある小さなカフェ。あまり明るくはない道筋にほんわりとした明かりを灯してこの時間も営業中。

 銀色の車を降り、彼と一緒にその店に入った。

 本当にこじんまりとしたカウンターに、奥まったフローリング部屋にテーブル席がいくつかあるだけの。それにこの時間、もう客はいなかった。本当にここで食事が出来るのかと琴子は思ってしまった。

「いらっしゃいませ」

「まだ食える?」

「まだ大丈夫ですよ」

 カウンターにいるマスターが静かに微笑み返しただけ。顔見知りなのようだけれど、店主と客という関係に徹しているのか二人にそれ以上の会話はなかった。

「こっちの席に行こう」

 奥の窓際席へと連れて行かれる。だがカウンターやレジ棚でよく見えなかった奥部屋の窓がやっと見えた時、琴子は息を呑んだ。

「すごい。海と月」

 窓が一枚の絵画のよう。穏やかな夜の海と空に昇っている途中の大きな月。絶好のロケーション。月が映る海面には、ゆらゆらとした檸檬色のリボンのような道がこちらの店へと向かっている。

 彼が笑う。

「そう。今日はこの時間帯に月が昇るってことを新聞の暦を見て気がついたんだ。だから琴子さんに見せたかったんだよ。でも残念。月が出てくる時間に連れてきてあげられなかった」

「それで、電話をしてくれたの?」

「うん。でも仕事じゃあどうしようもないって諦めたんだけどさ。でも、どうしても見せたくて。ダメ元で迎えに行って、月が昇りきってしまう十時を過ぎても会社から出てこなかったら帰ろうと決めて、あそこで……」

 やっぱり。彼ってとっても素敵なものを届けてくれる。コートも蛍も、そして今日は月。

「ほんと、滝田さんって……。その日その時一番素敵な場所を知っているのね」

「そのかわり。洒落たレストランじゃないけどな」

 琴子は首を振る。こんな素敵で嬉しいサプライズはなかなかないと、彼に微笑む。

 それに『琴子さんにどうしても見せたくて連絡した。仕事中でダメだったけど、どうしても連れて行きたくて待っていた』なんて……嬉しくないはずがない。

 彼と向き合って席に座る。月夜の演出なのか、店の灯りは最小限。二人のテーブルは青白い月明かりに照らされていた。

「うーん。でもおすすめの一品が『焼きうどん』というのは、お洒落なOLの琴子さんには言いにくかったりする」

 向かいの席で彼が困ったように唸ってしまう。

「ううん。美味しそう。オススメならそれ食べたい。お腹すっごい空いている」

 それならと、彼がマスターを呼んだ。

「焼きうどん二つ、それから今日のピザなに」

「ホウタレイワシ(カタクチイワシ)のピザ。一夜塩漬けにしただけのアンチョビ風」

「それももらうわ」

「かしこまりました。あ、また車を見て欲しいから、近いうちに連絡するよ」

 やはり知り合いだったよう。ジュニア社長と同じ顧客という様子だった。

「うん、わかった。店に連絡してくれよ」

「はいはい。それでは失礼しますね」

 だけれど、マスターは最後にニンマリとした意味深な笑みを彼に向けて去っていった。どうやら『女連れで来た』という密かなる笑みのよう。その途端に彼が照れてぶすっとした顔になる。

「マスターも車のお客様?」

「まあね。でも今は俺が客だから」

 そこのあたりの線引き、きっちりしているということらしい。

 やがてオーダーが揃い、彼と食事を始める。静かな漁村の古いカフェ。客は二人だけ。月明かりのテーブルで向き合う。

「ピザ、美味しい」

「その日の仕入れで、マスターがトッピングを変えるんだ。漁港が近いからシーフードが多い」

「地元の美味しいものが一番ね。それをピザで食べられるなんて、とても贅沢」

 月夜の海辺のピザ。海辺の異国に来た気持になるピザだった。

 彼も美味しそうに焼きうどんを平らげる。

「食事、していなかったの?」

「軽くしただけ。……断られたのに、諦めきれなくて。行こうか行くまいかって考えているうちに俺の食事時間も過ぎていた」

 最後にやってきたコーヒーを、彼が一足先に口に付ける。カップを置くと、まだ食事をしている琴子をじっと見つめてきた。

 彼に任せて連れて行かれる勢いにただ乗ってきたけれど。ここに来てやっと、琴子は彼の目を見て、この前の熱く湿った夕を思い出す。

「やっぱ、いいわ。琴子さんのきっちり女らしく決めているOLさん姿」

 ノースリーブの白いフリルブラウス、アクアマリン色のタイトスカート。そして白いミュールに白いバッグ。いまどきの女の子なら誰もがやっていそうな夏のお洒落。それを彼が満足そうに眺めている。

「OLの女の子は皆、私みたいなもの。誰でも同じだと思うけど」

「俺みたいなむさい元ヤン、薄汚れた車屋の男なんて、OLさんと縁遠いから。華やかな彼女たちが街中で働いている姿って、俺にとってきらきら見えて、すごく遠いもんな」

 それが目の前にいるということらしい。

「特に、いかにも『きちんと女子をしてきました』というお堅い女の子は、さらに縁遠いから。嘘みたいだって思っている」

 あの夕のように微笑み、琴子を熱っぽく静かに見つめるばかり。また琴子の肌も熱くなってくる。真っ直ぐ見つめ返せなくて、つい月の光へと目線を逸らしてしまう。

「それなら、私だって同じ。走り屋さんなんて遠い人だったから」

「でも、今は一緒にいるんだ」

 まるで琴子の気持を確かめるみたいに彼が笑う。今夜は余裕のお兄さんでいられるらしい。

 あまり琴子を困らすのはやめてくれたのか、彼が姿勢を崩し、座っている姿勢を椅子の上で横座りになる。長い足を大きく組んで、煙草を口にくわえた。そういうスタイルの作り方が、やっぱりまだ元ヤンの名残ぽい。長く彼に染みついている仕草のようだった。

 銀色のジッポーライターでカチリと火をつけて煙をひと吹き。琴子を避けて吐いてくれたが、その煙の匂いはこちらにやってくる。

 食事の手を止め、琴子はしばらく……、その煙の匂いに思わず囚われる。

「あ、わりい。煙草、ダメだったか。だよな。その綺麗なブラウスに匂いがついてしまうな」

 はっとした彼が慌てて灰皿へと手を伸ばした。琴子が食事の手を止めてしまったのはなぜかも、すぐに気がついてくれた。だが琴子は慌ててとめた。

「い、いいの。慣れているから。うちの社長も吸うし、彼も……」

 『彼も吸っていた』。そう言いそうになって琴子は慌てて口を閉ざす。だが遅かった。

「もしかして。いま彼氏が……いる……とか」

 殊の外、彼が青ざめてしまったので琴子もびっくりしてすかさず告げる。

「ち、ちがう。とっくに別れました。……半年前だけど……」

 すぐさま彼がホッとした顔になる。そして煙草も消さず、続けて吸ってくれる。

「……ほんっと俺って馬鹿だな。ほんと琴子さんに男がいないなんて決めつけていただなんて」

「あのまま彼と今もつきあっていたら、絶対に滝田さんとは出会うことなかったと思う」

「どうして?」

 彼が真顔で聞き返し、琴子を見ている。知りたいという目。

 琴子は小さく笑い、ある日のことを彼に教える。

「だって。滝田さんと出会ったあの煙草屋の自販機に、どうして立っていたか。別れた彼が吸っていた煙草が欲しかったから」

「買って吸うつもりだったのか。吸ったことないのに」

 急に嫌な顔をされる。なにを言いたいのか、すぐにわかる。なぜなら、あの行動がいかに幼稚で情けないことだったことか、いまの琴子もそう思うから。でも痛い自分を思い出しても怖じけず琴子は彼に話す。

「そうなの……、私も吸ってね、その甘い煙の匂いを嗅いで、ちょっとでも、彼が優しくしてくれた日に浸りたかったの。うんと、浸りたかったの。どこにも逃げ場がなかったから、せめて思い出に癒してもらおうと思って……」

 彼が黙ってしまった。

「彼と三年つきあったけど、うちがゴタゴタしはじめたら疎遠になってしまったの。たぶん……彼もどうして良いかわからなかったんだと思う。だから責められなかった」

 最初はいちいち泣いていた。お父さんが死んじゃうかもとか、お母さんが元気ないとか、お父さんが機嫌悪い――とか。でもやがて彼がそれを疲れた顔で聞いていると気が付いてから、琴子も口を閉ざすようになった。彼だけを見てあげられない集中できない日々は、琴子の女の身体を冷え込ませる。それを優しく受け入れてくれたのも最初だけで、徐々に彼は面倒くさそうにして何もかもを避けてくるようになった。

「だいたい察しつくけどな。それで、なに。『甘い匂い』って、もしかしていま俺が吸っているヤツ、元カレと同じ煙草とか言わないだろうな」

 彼の手元に置かれている煙草の箱は『ピース』。煙が甘い香りがする煙草。

「箱の色が違うけど、同じピース。私もあの夜、ピースを買おうとしていたの」

「……なんだよ。それ」

 どうしたことか、彼が愕然とした顔になる。

「くっそ」

 しかもいきなり、まだ沢山の煙草が残っている箱をギュッと片手で潰したかと思うとテーブルに叩きつけたので、琴子はビクリと固まってしまった。だけれど、彼は潰れた青いピースの箱を手にすると、席を立ち上がり行ってしまう。

 なに。なんで怒っちゃったの? 呆然とすることしかできない琴子はただカウンターへと行ってしまった彼を目で追うだけ。

「おっさん。ショッポある?」

「ホープだね。あるよ」

「わるい。これ、捨てておいて」

 レジで小銭を出し、煙草を買っている。そして潰れた箱をマスターに渡している。新しい煙草を片手にぶすっとした顔の彼が琴子の向かいに戻ってきた。どっかりと椅子に座り、小さな箱の煙草を改めて口にくわえた。

「あの、それに変えてしまうの?」

 もう、彼が煙草の箱を潰して新しい煙草に買い換えた意味を琴子は気がついてしまっていた。

 新しい煙草の煙の匂いは、もう甘くない。

「思い出にまでなっている煙の匂いをいつまでも目の前でちらつかせているわけにいかないだろ」

 やっぱり。琴子が元カレとの辛い別れを思い出さないようにしてくれたよう……。

「それにさ。いちいちあの煙の匂い嗅いで、元カレと一緒……とか、あのとき辛かった……とか。そんなのちょっとでも思って欲しくないからなっ。しかも琴子さんを自販機に立たせたヤロウが吸っていたかと思うと腹立つわ」

 ぶっきらぼうに言い放った彼の、眉間にしわを寄せる怒った顔。見慣れてきたその『本当は優しい怒り顔』。また琴子の胸が熱くなる。

「いいのに……。ピースを吸っている男の人なんて、いくらでもいるのに」

「俺が嫌だっていってんのっ。いいんだよ。昔、しばらく吸っていたヤツだし、ちょうどピースにも飽きてきていたんだ」

 嘘つき。また嘘。

 でも嬉しい……。

「はやく食えよ」

 いつまでも彼を見つめているから。またそんな怒った言い方。照れ隠し。

 でも月明かりはそんな彼もくっきり琴子に映し出してくれる。


 


 ―◆・◆・◆・◆・◆―


 


 食事を終え、彼がカウンターのレジで精算をしてくれる。

 白髪の静かなマスターが、黙ってレジを打っていたのに急にくすりと笑い出す。

「相変わらず、熱いね。全然、衰えていないじゃないか。安心した」

 そんなマスターが、彼の背にいる琴子をちらりと見る。眼差しが優しいマスターだった。

「やんちゃだけど。大目に見てあげて」

 やんちゃ……って。琴子から見たら、ちゃんとしたお兄さんなんだけれど。でもなんとなくわかる? 若い時はそうだったのだろうって。

「うっさいな。余計なこと言うなよ、おっさん」

 静かだったのに、マスターが笑い出す。

 また車、持っていくから。いいよ、店があるだろ、俺がここまで来るから。『連絡して』。整備の約束をしてマスターと彼が手を振り合う。

 店の外に出た途端、マスターが看板や店内の灯りを落とした。閉店。彼と琴子が最後の客だった。

 暗くなってしまった店先。すっかり高く昇った月が照らしてくれる。優しい潮騒と涼しい夜風。

 銀色のフェアレディゼットへと向かうのかと思ったけれど、彼に急に肩を抱き寄せられる。

 暗くなった海辺。どきりと琴子は彼を見上げた。

「そこまで、散歩しないか」

 胸騒ぎがとまらない。でも琴子は迷わずに頷いていた。

 小さなカフェの裏はテトラポットの波打ち際。古い堤防沿い、地元漁師の小さな漁船がつながれて揺れている海辺の小道。そこを月明かりだけで歩いている。

 でも気持ちよい風。やがて空高く昇った月と入り江からぱあっと海が一望できる階段に出た。大きな階段だけれど、満ち潮でもうすぐそこまで小波が打ち付けられている。

 だけれど、彼がそこに平気で座ってしまう。そして優しく琴子の手を引いてくれた。そのままに、琴子もすぐ足下に波が寄せる階段へ彼の隣へと座った。

「潮が引くと、階段がもっと続いていて小さな渚になるんだ」

「こんなところまで、あがってくるのね」

 そして彼が入り江の向こう、遠い対岸を指さした。

「あそこ、いちばん光っているところが、空港の隣にある工業地帯な」

「綺麗」

「嫌なことあっても、俺は走って夜のたくさんの光を見て忘れる。俺はね……」

 琴子さんはどう? とは言わないけど、隣で肩を寄せ合っている彼がそう言って見つめてくれている気がした。だから琴子も微笑み返す。

「私ね。誰もが知っている場所しか行ったことがないの。こんな夜中に誰も知らない場所に来たこともない。どこか行くなら前もって決めて、突然出かけるとかないの。こんなの初めて」

 彼が笑う。

「琴子さんらしいね」

 そして潮風にそのまま身を任せ、琴子も対岸の街灯りを遠く見つめる。

「私も忘れる。だから、もう、ピースでもホープでもどっちでもいいの。もう関係ないの。だから……滝田さんも忘れて……」

「なにを忘れたらいいの、俺……」

「辛かった私がいたこと、忘れて。いまここにいる私だけ知って……」

 今度は琴子から彼を見つめた。いつも優しく滲んでいる目尻のしわが消える。彼が思い詰めた目で琴子を見つめ返す。

 そして彼の腕が、琴子をさらにそばへと抱き寄せてくれる。そよぐ夜の潮風の中、琴子もそのまま彼の腕の中へと身を任せた。

 彼が上から琴子の顔を見下ろしている。

「このまえ、俺……ちょっと一方的で荒っぽかったかと……あとになって気になって……」

 彼の長い指先が、琴子の肩へと触れた。勢いに任せて肌を求めたこと触れたこと痕を残したことを気にしているようだった。

「ううん。あれから……ずっと、ここが熱くて。私、ここを見て、あなたを思い出していた」

「ほんとに」

「まだ、少しだけ残っているの。消えちゃうって……寂しく思っていたところ」

「まだ、残ってんの」

 見てみたいとばかりに、彼の手がブラウスのボタンへ。首元の最初のボタンを開けてしまう。そして二つ目のボタンも……。

 それでも琴子は静かにそれを見届けていた。嫌じゃないから。でも、彼の手がそこで止まり、琴子の耳元で溜め息をついた。

「俺って……。ほんと、駄目な男だな」

 琴子の気持ちを無視して、自分が思ったとおりに女に触れてしまう。そう言いたいらしい。そこまで大事にしてくれたら充分だった。

「見て……。英児さん」

 彼の名を呼び、彼を見つめ、琴子は微笑む。琴子の指先はブラウスの三つ目のボタン。そこを自分からゆっくり外した。

 かすかに開く胸元、潮風に揺れる小さな白いフリル。そして彼の目線なら、ちらりと琴子の乳房の隙間が見えるはず。そしてランジェリーのレエスも。

 まるで誘惑――。ううん、伝えたいだけ。私の匂いと熱くなってしまった肌を。

「英児さんが私に触れた日に、もう私はとっくに脱いでいるの。もう……裸よ」

「嘘だ」

 素直な気持ちだけれど、こんなに大胆に気持を伝えたことなんてない。受け入れてもらっていないのかと琴子は不安な面持ちで彼を見てしまう。

 だが彼がなんだか泣きそうな顔をしている? そんな彼が意外で琴子は戸惑う。そんな彼も思いあまったのか、大きな手が琴子の頬に触れすぐさま唇をふさがれた。

『んっ』

 この前のように、荒っぽい口づけ。でも彼が琴子の唇を狂ったように吸いながら、琴子の髪を撫でながら吐息混じりに囁く――。

「俺も、俺もだ。もう琴子を脱がして、勝手に何度も抱いた。もう何度も抱いた」

 また胸が灼けそうに焦がれる。琴子も彼の首に抱きついて、自分から彼の唇を吸う。

「抱いて。裸にして」

 すると彼が琴子の手をひいて、立ち上がる。

「行こう」

 月明かりを背に、彼の黒い前髪も夜風にふわりとそよぐ。あの匂いが彼からも立ちこめている。そして怖いくらい夜灯りに映える黒目。

 行こう――が何かわかって、琴子も頷いて立ちあがる。ボタンを開けたままのブラウスの首元を押さえて。

 

 英児の銀の車は長くは走らなかった。同じ漁村の片隅にある古ぼけた白いモーテルに迷わず入っていった。

 古くても開けた窓には、先ほどと同じ月と入り江と遠い街灯り。赤い小さな灯台の光がくるりと回っては、前置きもなく窓辺で抱き合い口づけをかわす二人を照らす……そんな部屋。

 もう時計の針なんて気にならなかった。今が何時で今どこにいてなんて。ただ、今夜はこの人と一緒にいる。裸になる。琴子の止まらない気持のままに……。

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