第6話 深海観測


上を見上げる


水面の光は見えないが 僅かに紐のような物がぶら下っていた


なんとか時間は残されているようだった 


イルカから別れ 小島の中心へと歩いていく


中心が近づくにつれ それは僕の前を横切っていくのが増える


まるで警告しているようだ


時折口を開けて牙を見せる 獲物を見る目の様に鋭い眼光でこちらを睨む


鮫だ


鮫の大群がぐるぐると 小島の中心を廻っていた


まるで神殿のような雰囲気にもなっていた 


鮫の神殿 さながら鮫の聖域か


そんな中に 人間の僕が一人のこのことやってきている 中心には機械人間がぽつんと倒れていた


そして その側を巨大な鮫がこちらを睨みながら泳いでいた


よく見ると鮫の肌に大きな傷がいくつもできてあった 


巨大な鮫は口を開く


轟音が響く 何を言っているかはわからないが察しはついた というか事前に話はついているはずだ 


本来人間が来てはならない領域に僕が存在できているのだから


ポケットを探ると 僕は黒い鉄の物体をかざした 


かすかに高い音が鉄の物体から聞こえてきている


円になっていた鮫の群れの一匹がこちらに勢いよくやってくる


ぶつかるかと思った寸前 その鮫は素早く鉄の物体を噛んでまた鮫の渦へと帰って行った


巨大な鮫が機械人間と距離を取った 


僕は機械人間に近づき 肌を触った 冷たい 亡くなってから数日たっているだろう


僕は腕時計を触り 機械人間を担いだ 


上にあったケーブルがこちらに近づいてくる 


ケーブルにあった引っ掛ける場所に足を置き 合図するように再び腕時計を触った


ゆっくりとケーブルが上へと上っていく クルクルと回っていた鮫と別れを告げた

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