第5話 遊泳禁止


スポットライトが当たる 上を見上げると発光する魚が上を泳いでいた


その明かりを頼りにするわけではないが助かった 


水の中の暗闇は思っている以上に恐怖を駆り立てた


進むと言う事にこんなに拒否反応が出るとは思わなかった


かといって戻ることはできなかった しかし 立ち止まっていては何も進まない


僕は慎重に足を動かしながら 目の前を懸命に凝視しながら歩いた


それはすぐに訪れた やはりあった


大きな崖だ よく見ると地面が直滑降に削り取られるようになくなっている


僕は立ち止まると 頼りにしていた光る魚は地面のない先を泳いで行ってしまった


腕時計を見た レッドラインに針は降り切れていた


この深度が人間ではギリギリなのだ これ以上は下にもぐれない


僕は待った ひたすらに 噂が本当なら来るはずだ 


そしてそれは現れた


巨大なクジラだ 鳴き声ですぐに分かった 


それが合図とばかりに僕は崖の先に体を飛び出した


うまくクジラの背中に着地できると振り落とされないようにバランスを取った


身を屈める


体全身に水の流れが体当たりしてくる 


どうにかそれに耐えたが 今にも振り落とされそうだ


視界の端っこに違和感を感じ横を見ると イルカが並走していた


クジラの尾ひれが大きく動く 


耐えられずに体のバランスが崩れた


クジラから投げ出される 


いちかばちか 僕はイルカに手を伸ばす


思いが伝わったのかイルカがこちらに近づいてくれてなんとか掴むことができた


そして 崖から離れた先にある小さな小島になっている大地に降り立つことができた


イルカにお礼を言うように手を上げると イルカは一鳴きしてクジラの後を追っていった

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