水の宮殿

第4話 水中散歩


乾ききった大地を蹴る 目の前の水たまりへと


そして僕は消えた 水の中に入ったのである


入ってきた水たまりの穴を見上げて確認した だんだんと小さくなっていく 


沈んでいるのだ


自分の口から泡が大量に出る


震えるように ゆらゆらと 泡は上へと浮かんでいる 


やがて穴は点となり消滅し 僕の口から出る泡も消えた 


辺りが真っ暗になる 


しばらくの間 何も見えない暗闇が続いた 


やがて光がみえる コンビニのネオンだ


色んな魚が立ち読みをしたり 買い物をしていた


他にも色んな店があったが どこにも寄る事はしなかった 


やがて底へとたどり着いた


ゆっくりと 僕は底に降り立った


底は一切の物がなく 何もない空間がひたすらに続いていた


僕いがい誰もいなかった 一匹の魚が上から泳いでやってきた


何かを喋っている だが僕は走って逃げた


本当は 人間がここにはやってきてはいけないのだ


忠告に来た彼を置いて 僕は水中を走った


魚にスピードで勝てるわけはないが 追いかけてくる様子はなかった


そして 僕は再び一人になった


どこに行こうか どこに向かえばいいのか 誰に会いに行けばいいのか


決めるのにはまだ余裕があるだろう しかし 散歩というわけにはいかない

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