一章 新キャラ登場
「……このクソ神様がぁぁああああああああああ! どの面さげて俺の前に姿見してんじゃごらぁぁあああああああ!」
「ちょっと落ち着けオタク。いきなりやったらマサミカだって苦しいだろう。」
いやいや、なんでそんなナチュラルに新メンバー受け入れちゃってるの? いやメンバーでもないけどさ。
「ちょっと黙ってろ緑! これは俺達の問題だ! なあ、マ・サ・ミ・カ・君」
「緑って俺のことか? とにかくお前カルシウム足りてないんだろ? ほれ、これでも噛んでろ」
「ああ? パクッ! ん。……コリコリ。……んん、なかなかの歯ごたえ……って俺は犬じゃねぇえええんだよおおおおおおおおおおお!」
「いや、カルシウム不足を補うといったらこれだろ」
「だいたいこれ何の骨なんだよ!」
「テッテレテッテテーテーテー♪ 龍骨ぇ~」
「はいアウトぉぉおおおおおおおおおおお! なんだよ龍骨って! 明らかに怪しすぎるだろ! それに前から言ってるけど。何で共食いウェルコムなんだよ! この世界は! あと! その紹介の時の音! 分かる人には分かっちゃうから! ダメだから! 青い猫に怒られちゃうから!」
「クロたまちゃん、お手。なんちゃって」
「リミアちゃん!? すげー可愛いんだけど色々と残念過ぎて……。まず、犬に『たま』はちょっと違うかな! あとお願いだから犬扱いはやめて下さい! あとてめぇ!」
俺はリミアちゃんの後ろに小動物のように身を潜めるマサミカこと、神様を指差す。
「何どさくさに紛れてリミアちゃんに触ってんだごらぁあ! リミアちゃんに触っていいのは俺だけじゃボケぇえ!」
「いや、誰でも基本ダメだろ」
これはナディス。
「うるせーこの中二病オタク! いいだろ! リミアと関われるのこの辺のどーでもいい時くらいなんだから!」
「いやアンタ、導入部にもうちょい愛情とか持てよ! じゃないとこの先の俺の凄まじくカッコイイところを誰も見てくれなくなるだろ!」
「いや、因みにクロト。お前この後――」
「わああああ! わああああ! わああああ!」
「「うるせええええ!」」
「……いや……何ネタバレしようとしてんじゃああああああああ! バカなの? アンタ正真正銘のバカなの!?」
「バカって言った方がバカなんだよ! バーカ! バーカ!」
「自分でバカって言ってるし……。ああっ! 分かったから! 俺はバカでも何でもいいから! これ以上この茶番続けてても話し進まないから、ホントいい加減帰ってくれよ! んでもう少しマシな話し考えてくだせぇよ!」
「言ったな! ホントにバカにするぞ!」
あ、いや、それは勘弁して下さい。
「まったく~。じゃあ帰りますよ。またな、クロト」
ぴかーん! と神様が光に包まれ、それが止むと共に消えていった。どんだけ迷惑な神様なんだよ。しかもやけに引き際は、塩ラーメンみたいにあっさりしてんだな。
まあ、何はともあれこれでようやく旅を続けられるな……。てか、なんで序盤からこんなに飛ばさなきゃいけないんだよ……僕もう疲れたよ、リミラッシュ……。
「なんか……幻覚を見ていたような……」
「は、はい。何だったのでしょう……?」
いや~さすが神様だよ。都合良いな~。
「てか……俺、コイツを森であった時に見捨ててればよかったと思い始めてきた」
「なんで!?」
「わ、わたし……なんかとても恥ずかしい事をされたような……」
「いやリミアちゃん! 俺やってないからね! そんな哀れな眼で俺を見ないで! まるで常習犯の様なキャラ扱いしないで!」
くっそ~、あのクソ神様……さっきまでの茶番をねつ造し始めたか……。マジで何でもアリじゃねぇかよ……。
「しかも恥ずかしがってるリミアちゃん可愛いし……」
って!? またやられたああああああ! くぉらぁあ神様ああああ! また勝手にかぎかっこ付けやがって! 俺には心の声を言う資格はないのですか……。
てか、まだ神様ワールド続くのかよ……これならチンピラの集団に絡まれた方が――。
「おい、そこの人間達! 大人しく金と武器をよこしな」
……なんて言ってたらホントにチンピラ出てきちゃったよぉぉぉ。……もちろん龍だけど。
「おいおい、人間達って……俺はおまけかよ」
「な~に粋がってんだよ。俺達の頭数わかっててそんな暢気なこと言ってんのか? あ?」
いかにも小者臭漂うチンピラ龍が槍を担ぎながら近づいてくる。どの世界にもこういうお決まりキャラはいるんだな。なんか緊張感抜けて親近感湧いてき たよ。
とは言っても、確かに相当いるなコイツら。なんか世紀末バトル漫画の初回に出てくるチンピラくらいいるんじゃねぇの? わからない人はごめリンゴ。
さすがにこの数じゃあ本調子でないナディスもキツいんじゃね~の、とか俺は思ってるのだが、当の本人は――。
「お前達、悪い事言わないから俺達の前からさっさと消え去った方がいいぞ~。狙う相手を間違えてる」
などと火に油を注いじゃう始末。これにはチンピラさん達もお怒りのご様子で――。
「てめぇ調子乗るのも大概にしとけよなぁこらぁ! アニキぃ! そろそろ交渉決裂ってことでヤっちまっていいすよねぇ!」
「「そーだ! そーだ! いやっふぉう!」」
「野郎共ぉ! やれんのかぁあ!」
「「「おおー!」」」
「……やっぱ退いてはくれないか、しょうがない……」
今にも乱戦の火蓋が切って落とされそうな雰囲気になってもうたし。……てか、親玉いたんだ。影薄いな~。まったく、どうなるのやら俺達の旅路は……。
いや、だがこの展開は寧ろ好機なのかもしれない。きっと神様が序盤の展開に刺激を与えてくれるための粋な計らいなのかもしれない。それにそれに、あのサブタイトル、これはフラグが立ってきましたよぉ。さあいでよ! 新たなるキャラよ! その姿、その力を見せてくれぇえええ!
「いくぞ野郎共おおおおおおお!」
「「「おおおおおお!」」」
――ドガッ! バギッ! ドゴッ! ……(以下省略――)。
ひゅ~~~~。と砂煙が辺りから去り、開かれた景色には――ナディスが立っていた。
困り顔で首の後ろに手を回し、もう片方の手には腰にひっさげていた剣を抜き放ちながら。そして、さっきまでブイブイいわせていたチンピラ龍達が、全員地に伏せピクピクと痙攣を起こしていた。
……フ、フラグが折れたぁぁぁああああああああああああああ!
「なんだよ、もう終わりかよ。これじゃあ準備運動にもなりゃしねえ」
そんな強烈インパクトを持って登場する新キャラのセリフまでナディスさんは言い放ってしまう始末。ねぇ……神様。……これ本当に大丈夫ですか……僕、心配になってきましたよ……。
『逆巻け大いなる風よ、砂塵を纏いて、天高く蹂躪(じゅうりん)せよ――【サンドストーム】!』
「――ッ!? クロト! リミア! こっちに来い!」
ナディスの叫びに俺とリミアちゃんは驚きながらも体を動かし、三人が集結したその瞬間――。
ゴオオオオオオ! と音を立て砂の竜巻が俺達三人を囲んでしまった。竜巻の中にはチンピラ龍達が取り込まれ、「あ~れぇ~」などと不甲斐ない悲鳴を挙げている。その様子から殺傷能力は低いのだろう。なんか上手い具合に竜巻の頂点が明後日の方向へ曲がり、チンピラ龍達はそのままフェードアウトしていった。お気をつけてね~。
色々残念なチンピラ龍達を見送ると、竜巻がはれ、一人の少年が姿を見せる――ッ!?
お、俺の目が可笑しいのかな……? 少年……確かに中学生くらいの容姿なのだが……その、……み、耳が、赤く、トゲトゲしていて、例えるなら、そうナディスのそれとそっくりなのである。あとね~、本人は必死に隠そうとしてるんだろうけど……見えちゃってるんだよね……尻尾も。それ以外は俺やリミアちゃんとまったく同じ人間そのものである。
そんなデンジャラスボーイ君はザッザッと駆け足で俺達に迫り来るや開口一番――。
「なんで……僕の登場フラグをへし折ってくれたんだぁぁあああああああああ!」
涙を浮かべ俺達に訴えかけてくる少年に、俺だけは同情するよ。
突然現われた少年がこれまた突然叫びだしたことに、俺以外の二人は首を傾げちゃってるよ。まあ、フラグのフの字もわからないだろうこの二人に、その叫びはミスチョイスだったな。実際、ナディスなんかフラグをバッキバキにへし折った張本人だし。
「わ、わるかったな少年。俺もまさかこんな形でフラグが折れるとは思わなかったよ」
全く俺は悪くないのだが、話しが通じるのは俺だけなので、代わりに謝罪する。
「い、いえ。アナタは悪くないですよ。叫んだおかげで少し冷静になれました。突然大声を出してすみませんでした。僕はフリウスと申します」
なんだ、話せばわかりそうな子だな。
「フリウス、よろしく。俺は立花クロト。クロトって呼んでくれ」
俺はナディスに邪魔されぬよう手っ取り早く自己紹介を終える。それに右に倣えと二人も続く。
「俺はナディスターだ。ナディスでいい」
「フリウスさん、始めまして。私はリミア・ドラ・ホーリヤードでございます」
「クロトさんに、ナディスさんに、リミアさんですね。よろしくお願いします」
とまあ、こんな感じで俺達はなんとか打ち解けたわけである。てか、ナディスもさ毎回名前訂正するなら改名してもらえばいいのに。某神様に。
「お前のその姿は、光属性による白魔術、【トランスフォーム】か」
「ええ。まだ完全に使いこなせないため、少しだけ龍のままですが、僕はいつかこの術をマスターして、完璧な人間になるんです!」
「いや、確かに完璧とは言い難いが、ガキにしては芸が逸脱してるな」
「まあ、そうでしょう。なんて言ったって、僕は七属性と光闇(こうあん)属性、全ての属性が使えるんですからね。」
「全属性だと!? ……お前、黒魔術も使えるのか」
さっきまでの和やかな雰囲気は、ナディスの放つ殺気によって一瞬で消え去った。
「え、ええ。でも使えるといっても学術院で習える一般教養魔術程度ですけどね」
その言葉で警戒心が解けたのか、ナディスは殺気を沈め、元のとまではいかないも安心できる雰囲気は戻ってきた。
「……すまない。今のは忘れてくれ。……そういえば、コイツも基礎七属性の魔術が使えるぞ」
と、ナディスは俺に親指を差してそう告げる。それを聞いたフリウスは笑顔、というかこれは絶対人を小バカにしてる顔を向けてくる。そんでもってほら、そんな感じのこと言ってきやがった。
「え? そんな訳ありません。だってクロトさん人間ですよね? 人間で魔術が使えるという方は限られていて、簡単には使うことはできないんですよ。それに……失礼ですが、どう見てもクロトさんって……非戦闘員の残念モブキャラにしか見えないですよ」
「かっちーん。おいガキんちょ。お兄さんさすがに今のは怒っちゃうぞ~。恐いんだぞ~」
「そ、そうですか。……でもナディスさんもさっきのお詫びだからって、そんなご冗談は――」
「冗談なんかじゃないわあああああああああああ! ガキんちょ! 俺様の堪忍袋もビリッビリに破け飛んだわい! 決闘だ! 今から俺様と戦えええい! 目にモノ見せてやるわああああ!」
「え、ええ……。そんな急に言われましても……」
「そうだぞオタク。大体お前、今は魔術使えないだろどうせ」
「おいおいナディス。君はいつの時代の俺の事をいってるのかね? 今の俺はアグルガントの街を震撼させたあの最強の俺なんだぜ!」
「いやだから、お前が魔術を使えたのはじゃが――」
「シャーラップ! 敵に手の内を晒す様な間抜けな事はお止めたまえナディス君。大丈夫だ! 策もある」
「はぁー。……との事だ。すまんが相手してやってくれないか」
「ま、まあいいですけど、後悔しないでくださいよ」
その瞬間、周りの温度が一、二度下がった気がする。戦い前独特の雰囲気ってやつだな。
「先手必勝! 炎のつぶて――【ファイヤーボール】」
俺はこの道中、密かにリミアちゃんから教えてもらってたこの世界の魔術を繰り出す。が――、
しーん。
……なんで! なんで俺アグルガントではあんなにバンバン魔術(クロト特製)使えたのに……。
「だったら! 開け煉獄(れんごく)の門、その業火を持ちて――」
「電球よ、弾けろ――【プチサンダー】!」
ぎょああああああああ! フリウスの作り出しだ電球が俺に直撃する。出力を抑えているのか、はたまた元々このくらいの威力なのか、とにかく痺れはしたが戦えない程ではない。
「な……なんで、魔術が使えないんだ……それに……覚醒も出来ないし」
「だから言ったじゃないですか。人が簡単に魔術を使うことは出来ないって。……クロトさん、負けを認めてこんな茶番、終わりにしてくれますか?」
「……ああ……参った、参った。……なぁ~あんて。くらえええ! ダークネスシュート!」
俺は倒れた時に、水筒を体の下に仕込んでおいた。
立ち上がった後、その水筒をノーモーションで蹴り飛ばす。俺が長年に渡って近所の公園で缶蹴り王と言われ続けた、缶蹴りの必殺技。その名も――ダークネスシュート――決して魔術などではないが、それっぽく言っておけば騙されるやろ。これぞ……不意打ち。キマッタな。
「――ッ!? 切り裂け闇の刃――【ダークカッター】!」
うおおっ! あっぶねぇ……不意打ちなんてすんもんじゃないな。てか、フリウスの技で俺が蹴った水筒真っ二つに切り裂かれるし、左手の甲もちょっとすりむいちまった。なんか微妙に痛ぇ……。
「いい加減負けを認めたらどうです。アナタじゃ僕には勝てないですよ」
「うるせぇ……ここぞとばかりに新キャラっぽいセリフぶちまけやがって……それに、俺から決闘挑んでんだ。これで負けたらリミアちゃんの株、下がっちまうだろ」
「新キャラっぽいって……僕一応新キャラなんですけど……それに、リミアさんのアナタへ対する評価はそんなに高くないでしょう。きっと」
「それに関しては俺も同感だ」
「うるせー緑! 水差すんじゃねぇよ! それに評価だって……あ、確かにリミアさん、低そうな反応されていらっしゃる……。ええい! こうなりゃやけくそじゃい! かかってこいや! こんちきしょぉぉおおおおお!」
「はぁ……。――【プチサンダー】!」
ぎょああああああああ! ……ち……ちきしょう。……俺だって、覚醒できれば……。
――ドクンッ!
――ッ!? ……キタ、この感じだ。前回程までに力が溢れてはこないけど、間違いない……開眼できる!
俺はゆっくりと瞳を開く。あの時と同じ、赤より黒く、濃い、紅蓮の瞳が姿を現す。
「じゃ、邪眼!? 嘘だ! 人間が覚醒できる訳がない! 砂のつぶて、飛んでけー! ――【サンドボール】!」
「誇り高き元素よ、命宿し、我が写し身と化せ――【パペットオリジン】!」
ドシャァアアアアン!
フリウスが生み出しだ砂のボールは突如現われたもう一人のクロト――砂で出来た分身の右手に受け止められ、四散していった。
「なっ!? なんですかそれは! そんな術見たことない!」
そりゃそうだ。だってこれは俺が考えた技だからな。
「こうなったら……トッテオキです! くらえ! んんんっ――」
フリウスが口を膨らませる。一瞬口から漏れたソレに危険を感じ――。
「迸る雷我纏い、自ら閃光と化して鉄槌を下せ―【ソニックサンダー】!」
ブウオオオオオオオオオオオ!
即座に呪文を唱え、落雷の如く駆け抜け、間一髪でソレをかわす。
――ッ!? か、かえんほうしゃ!? しかも今、詠唱もなかったぞ!
俺が寸前までいた場所から半径一メートルは、フリウスの口から放たれた炎によって埋め尽くされていた。だが、トッテオキと言っていたそれすら避ける俺って、やっぱすげぇな。いや、この邪眼がすげぇのか。
炎が止み、丸焦げになる予定だった俺がいなくなり、焦るフリウス。
一方、邪眼のおかげもあり、冷静さを取り戻すクロト。そのままフリウスの背後に立ち、肩に手を乗せて詠唱を始める。
「荒ぶる砂よ、生を喰らう魔物と成りて渦を巻け――【サンドボルテックス】!」
詠唱と供に二人を中心に黄土色の魔法陣が広がり、詠唱を終えると砂の渦がフリウスだけを飲み込み砂の中へ引き込んでいく。フリウスももがき抵抗はしているがそれも虚しく、遂には頭だけが砂からでた姿となり、戦いも決着。
戦いが終わったという緊張感から解き放たれたことと、邪眼を使った後遺症、と言ったら大袈裟だが疲労によって俺はお尻から地面に倒れるように座り込む。前回のような脳が焼き切れる痛みは無く、軽度の症状から使う魔術の威力や時間によって変わってくるものと推測できる。
ただ、未だに発生の原因は不明だけど……絶対あの怪しいジジイからもらった石が原因なんだろうけど、それより先はわからないや。とにかく疲れた。
フリウスはナディスに引っこ抜いてもらい救出完了。その表情はどこか曇っていて納得のいかないと言った様子である。
まあ、それもそうだろう。同年代(って言っていいのかわからないけど)それも魔術が使えないと決め付けていた人間に魔術で、それもトッテオキまで使って負けたんだ。悔しいに決まってる。
俺はフリウスを慰める思いで少しだけ自分のことをネタばらしする。
「フリウス、俺実は別の世界から来た異(い)来人(らいじん)なんだ。それと……魔術が使えるのは戦ってて分かったと思うけど、あの邪眼のおかげなんだわさ。なんで開眼したかはわからないけど」
「そう……だったんですね……クロトさんは随分と特殊な方だったんですね。とはいえ、負けは負けです……クロトさん、酷いこと言ってすみませんでした」
特殊と言われ、なんだかこそばゆい気持ちになったところ、「コイツはただの変人だよ」とナディスが横入れをしてきたので「お黙り! この緑!」と一喝。
だがおかげで場の雰囲気も少しずつ明るくなってきたのでさらに畳み掛ける。
「それに、フリウスの口から火を出したヤツ。あれすげーな! どうやってやったのかおしえてくれるか」
「あーあれはコイツの種族――」
「だから黙りゃっしゃい緑! 今俺はフリウスに聞いてるんだから! 読めないなりに空気読んでくれよ」
お、おお。とさすがのナディスも空気を読もうとする。
「とかさ色々フリウスのこと知りたいし、もし良かったら俺達ミネラ・クーリシュに向かってんだけど、一緒に来ないか? な、いいよな? ナディス、リミアちゃん」
「俺は構わないよ」
「はい。私もフーちゃんのこと色々聞きたいです」
え、リミアちゃん……その可愛らしいあだ名は何? 羨まし過ぎて視界が霞んできて……って俺泣いとるやんけ! ……(俺だってリミアに可愛いあだ名で呼んで欲しいよぉぉぉ)……って神様お前もかい! アンタに関しては自業自得だろう!
「良いんですか、ありがとうございます。実は僕、ミネラに住んでいるので大丈夫だとは思いますが、道案内させてください」
「そ、そうだったのか(うわあああ、ぢぎじょぉおおお)。じゃ、じゃあ、お言葉に甘えてよろしく頼むよ、フリウス」
「はい。よろしくお願いします!」
こうしてフリウスを加えた俺達一行は目的地のミネラ・クーリシュを目指して歩き出す。
……てか、まだ涙が止まらないんだけど。……いい加減泣き止んでくれよ神様。次の章いくんだろ? こういう時くらいビシっと決めさせてくれよ。
ほんと大丈夫かよ、この世界……この神様……。
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