第67話 撤収
翌日曜日、土曜日と同じく、午前7時に僕達二人は河原に集合する……。早速僕らは九十メートルの距離からパチンコを撃とうと準備したのだが……、ここで問題が起こる。
「シンヤ! レーザーポインタが見えない!」
僕は眼だけは良い方なのだが……、さすがにレーザーポインタの赤い光の点が見えなくなってしまった。シンヤに指示してもらい、レーザーポインタが的の中央に来るようにパチンコを動かす。
「オッケー! その位置!」
シンヤから相図が送られる。僕はゴム弾を射出する。シンヤは的のぶつかった場所をパソコンに打ち込み、SSSの修正を行う。そして、再び、僕はシンヤの指示で射出する。その繰り返し。そしてついに百メートルのデータ集めが終わりそうになったときだった。小休憩を取っていた僕たちの耳に静かな怒声が届く。
「あんたたち……、なにやってんの?」
振り返ると、そこにいたのは……赤崎さんだった。
「河原を歩いてたら何かがぶつかり合ってる様な音がしてるから何事かと思って見てみれば……。天野くん、シンヤ……危ないことはしたらいけないって言ったでしょうが!」
「あ、危なくなんかねえよ。パチンコをやってただけだ!」
「パチンコって……アンタ18歳になってないでしょう?」
「そのボケはもうシュウがやってんだよ!?」
「あっそう。でもね。おもちゃのパチンコでも危ないでしょうが! 何よこの距離。天野くん、ゆうに50メートルは超える距離からとんでもないスピードで弾を飛ばしてるじゃない!? 人に当たったらどうするの!?」
もっとも過ぎて僕は何の反論もできない。シンヤはなんとか食い下がろうとしていたようだが、結局赤崎さんに説教され続けて根負けしていた。
「とにかく、すぐに撤収しなさい! 当分の間パチンコ禁止!」
「おかんかよ……」
「シンヤ、何か言ったかしら?」
「い、いや何も言ってねえ、です!」
レオナおかんにこっぴどく叱られた僕とシンヤは実験資器材を持ってシンヤ宅へと戻った。
「ちっくしょう。あとちょっとでデータ収集終わったのによう。レオナのやつ目ざとく見つけやがって……」
「仕方ないよ。赤崎さんの言うとおり、たしかに危なかったかもしれない」
「はぁ。ま、いいさ。ある程度データを取ることには成功したしな。完成には到らなかったけど、十分実戦には耐えうるはずだ!」
実戦ってなんだよ。僕は例のカツアゲのような場面には遭いたくないんだけどな。どうやらならず者をぶっ飛ばすというシンヤの構想に変わりはないらしい。
「あーあ。なーんかやる気が出ねえぜ。今日は解散ってことで。また明日な、シュウ!」
干渉少女 向風歩夢 @diskffn
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