第51話 パチンコ
くそっ! 何て無駄なことをしてしまったんだ……。通学途中、僕はずっとゴールデンウィーク最終日を寝て過ごしてしまったことを後悔していた。カツアゲからSSS完成まで、と充実したゴールデンウィークではあったが、結局、僕は論文を読むという当初の予定を全く実行できないまま終えてしまったのだ。……カツアゲは充実とは違うか……。
「おっす、シュウ」
シンヤと合流し、一緒に学園に向かう。
「最終日は何してたんだ? オレはちょっと良いこと思いついてよ。設計図作ってたんだ!」
「丸々寝てたんだ。気づいたら今日の朝だったよ……」
え? とシンヤは驚いて僕から事情を聞く。
「そりゃ、丸一日と半分起きっぱなしだったもんなー、お前。今度から無茶はやめとけよ。ま、オレにしてみれば、お前が無茶してくれたおかげで一気にSSSの研究が捗ったんだけどよ」
「で、シンヤは何を思いついたの? 設計図作ってるって言ってたけど……」
「おう、SSSに続き、今度は武器の開発に着手したんだ」
また、物騒なことを言い出したな。武器ってなんだよ。レーザー銃でも作るつもりなんだろうか……。
「おっと、シュウが思ってるような武器じゃねえと思うぜ。俺たち以外には扱えない安全な武器だ!」
僕たちしか扱えないからと言って安全とは限らないと思うけど……。ま、最後まで話を聞くか……。
「オレのナイスなアイデアを聞いてたまげるなよ? パチンコだ!」
「シンヤ、ダメだぞ。僕らはまだ十八歳以下だからギャンブルは……」
「そっちじゃねえよ! てか、お前分かって言ってるだろ」
ああ、もちろん理解した上で言ってるよ。シンヤが言ってるのはゴムの付いたY字型の玩具の方の話だろう。でも、そんなもん武器になるのか?
「てことで、お前にも協力してもらうからよ。今度から放課後と土日でオレがサッカー無い日はラボ集合な!」
マジか。僕勉強したいんだけど……。でも面白そうだから良っか!
「あら、おはよう天野くん、シンヤ」
講義室の前に、赤崎さんが立っていた。
「レオナ、なんでお前こんな所にいんだよ?」
「ちょーっと、話があるから。今日昼休み、学園近くのファミレスに来てもらえる? 天野くんも一緒に!」
赤崎さんの顔は笑顔なのに、声は少し怒っているような感じだった。シンヤはともかく、僕も何かしたんだろうか……?
赤崎さんは伝言を言い終えると、その場を去って行った……。
「なんだ、あいつ? 朝っぱらからカリカリして。お肌にわるいぞー?」
聞こえても知らないぞ。シンヤ……。
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