第42話 シンヤのラボ
「さて、じゃ早速だが、俺の研究室(ラボ)に行こうぜ」
ラボか、良い響きだなあ。一体どんなものが置いてあるんだろう。期待が膨らむ。
「ここがオレのラボだ」
シンヤが連れてきたのは和風の一軒家の庭には似合わないコンクリートで作られた倉庫のような建物だった。中に入って電気を付けると……、そこには実に多種多様な資器材が置かれていた。僕には何に使うか分からないものばかりだったが……、シンヤは「あれは研磨機、あれはレーザー加工機、あれは電子顕微鏡……」というような具合で僕に説明してくれた。
「よし、見学はこんなもんでいいだろ? 本題に入ろうぜ」と、シンヤが切り出す。
「つってもよお、実はもうお前に見せっちゃってんだよな。面白いもん……、気づいたか?」
まあ、僕も見当は付いていた。アレは絶対に異常だったから。シンヤ自身もハイテクだって言ってたしな……。
「さっきの後藤とか言う巨体の不良をぶっ飛ばしたのに使った道具……それが面白いもんなんだろ?」
「おお、さすがに気づいてたか?」
シンヤが嬉しそうに笑う。
「さすがに気づくよ。シンヤが良く見てろって言ったんじゃないか。後藤をぶっ飛ばす前になんか呟いてただろ。あの後、何か電子音が聞こえて……気づいたらシンヤが凄いパンチを後藤に打ってた……」
僕の言葉を聞いてシンヤが少し残念そうな顔をする。
「ホントはラボに来てから見せたかったんだけどよお。驚かせようと思って。でも、もうさっき見せちまったから、今から見せても驚き量は半分だよなあ」
「十分驚いてるよ。で、あれはなんなの?」
「これだよ」
そう言うと、シンヤは黒い全身タイツのような服を取りだしてきた。そのタイツは足先から手袋まで全て一つの生地で繫がっていた。そして、背中の首元には小さな直方体の機械が取り付けられていた。
「こんなので、あんなパワーが出せるのか?」
「ま、ちょっと着てみろよ。驚くぜ」
シンヤの顔は自信に満ちていた。
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