第41話 シンヤの家
「君、これホントに自転車でこけただけ?」
僕は病院で先生に尋ねられた。無理もない、自転車で転倒したにしては、痣が腹部や背中など広範囲に色々なところにできすぎだ。疑われるのも当然だ。
「はい、ホントです。派手にこけちゃって……」
「まあ、深くは聞かないけどねえ。あんまり無茶しちゃいけないよ?」
僕は「はい」、と答える。
「念のため、CTとレントゲンを撮ったけど、脳にも骨にも異常はありません。打撲だけだね。あまりにも痛みが引かないときはまた病院に来るように」
分かりました、と僕は言って診察室を出た。
僕は、カツアゲ騒動が終わると、病院に向かった。なんせ、あんなに激しく体を打ち付けられたのは初めての経験だった。体に異常はないだろうとは思っていたが、一応病院にかかっておきたかったのだ。
病院から出ると、シンヤが待っていた。
「よ、どうだった? ま、なんも異常はなかっただろ?」
「おかげさまでね。で、ホントにシンヤは診てもらわなくていいの?」
「大丈夫だよ、こんくらい! むしろ、この程度で病院かかるやつなんて心配性だっての」
「たった今、病院から出てきた僕にそれを言うのかよ」
「そんなことより、もう昼だぜ。さっさとオレんち行こうぜ。日が暮れちまうぜ」
もう昼、か。僕としてはまだ昼なのかって感じだ。9時にシンヤと合流した後、カツアゲに巻き込まれ、病院で診察してもらう。この間、わずかに3時間程度だ。あの永遠の長さにも感じたカツアゲ事件はたった十五分程度の出来事だったらしい。今日の午前は今まで生きてきた人生で一番濃密な時間だった。二度と味わうのはごめんだが……。
ようやく、予定から3時間遅れだが、シンヤの家に到着した。
「はああああ……」
僕はシンヤの家を見て呆気に取られ、ため息をついていた。立派な平屋建ての一軒家だ。シャッター付きガレージには3台位は車が停められそうだ。川永学園がある、ここ神水市は東京都心まで1時間弱でアクセスできるため、人気住宅街となっているのだが、そんな場所でこんな大きな家を建てるなんて……シンヤのじいちゃん、ばあちゃんってのは何をやってた人なんだ?
「シンヤ……こんなところに一人で住んでんのかよ……」
「ああ、無駄に広いから困っちまうぜ……掃除するのも一苦労だからよ。ま、実家よりは一回り小さいからまだましなんだけどな」
実家はこれよりさらに一回り大きいのか!? どんだけ金持ちなんだよ……、そう言えばシンヤは赤崎さんの家を「めっちゃでけえ」と表現してたな……。赤崎さんの家、どんだけデカいんだよ……。
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