第27話 図書館へ

「天野くんはシンヤみたいにひらめきが働くタイプではないわよね」


 赤崎さんの言葉に僕は首を縦に振るしかなかった。とてもじゃないが、シンヤの天才的とも取れる直感を駆使した勉強方法は真似できそうにない。


「私と同じで量をこなして知識を深めることで理解するタイプだと思うわ。だから、今の天野くんに足りないのは知識量だと思うの」


 赤崎さんの言うとおりだと思った。そもそも講義内容に出て来る単語自体を理解できないことが多々ある、というかほとんどだ。しかし、今の僕はどうしたら知識量を増やせるのか、その方法が分らなかった。だからこそ、こうして今、二人に泣きついて勉強しているのだ。


「どうやれば、知識量を増やせるんだろう……」


 僕がそうつぶやくと、赤崎さんは参考になるかわからないけど、と前置きした上で話し始めた。




 ……予定通り、午前中いっぱいでカフェでの勉強会は終了し、解散した。

 シンヤは午後からサッカーに行くと言っていた。今日はこの前とは別の中学のサッカー部の練習に顔を出すらしい。どんだけコミュニケーション能力があるんだ……。赤崎さんは「Aクラス会」があると言っていた。「Aクラス会」って何だろう、と思ったが急いでそうだったので詳しくは聞かなかった。


 僕はというと、寮で昼食を済ませ、学園の図書館に向かっていた。結局、勉強会ではシンヤと赤崎さんの天才ぶりを目の当たりにしただけで講義内容を理解することはできなかった。


「ウチの学園の図書館で教授たちの論文もらえるのよ。私もそれを見て勉強してるから。川永学園の生徒には格安でコピーしてくれるからそれを見て学習するのがいいと思う」、そう赤崎さんはカフェで教えてくれた。


 なるほど、と思った。これまで勉強は教科書を読むことしかやってこなかった。だが、当たり前のことだが、最新の研究は教科書に載ってなどいない。論文を見れば、教授たちが講義している最新の研究内容も理解できるかもしれない……。実際、赤崎さんもその勉強方法で良い成績を取っているのだ。真似した方が良いはずだ。

 

 ……速読は真似できないけど……


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