第25話 カフェで勉強会③
「え?」
僕は思わず声を上げる。何がダメだって言うんだ?
「俺はこの教科書を読んだ時、突っ込みどころを少なくとも10か所は見つけたぞ!」
「突っ込みどころ!?」
「ああ、そうだ。俺はこの教科書の理論やら、前提条件やら、諸々にどうも納得できない部分があった。おそらく、この本に書いてあることは現状、学会とかで正しいとされてることだと思うぜ? だが、あくまで現状の話だ。となれば、偉い教授連中の中には俺と同じで突っ込みどころを、間違っていると指摘したい奴、逆に突っ込みどころを修正して完璧な理論として証明したい奴がいるはずだ。そういうところに目を付けることが出来ていれば、教授達が研究していることは調べなくても想像できる。」
「なるほど!」
僕は理解することで精一杯だったけど、シンヤはそんなことまで教科書から読みとっていたのか、凄すぎる。当たり前だが、ただの不良ファッション少年じゃなかったんだ!
「あとはその突っ込みどころを解消するのにどんな実験をするのかをそれぞれ十数通り、結果まで含めて頭の中でイメージする」
「うんうん…………ん?」
「そして後は、講義の内容、教授が研究した結果を聞いて、『ああ、やっぱりな』、『なるほど、そうきたか』、と確認作業するだけで良い。簡単だろ?」
「え?」
僕はシンヤの話を聞いて硬直する。
「ちょ、ちょっと待って!? どんな実験をするかイメージするってどうやって? それも十数通りもどうやって?」
「そりゃお前、なんかこう来るだろ頭にこう、インスピレーションってやつ?」
「インスピレーションって……大体、ちょっと納得しちゃったけど、そもそも教科書から10か所以上も突っ込みどころなんて見つけられないよ!」
「そりゃお前、見てたらなんかこうおかしいなあって思うとこ見えてくるだろ? 直感ってやつ?」
「動物的でしょう? 参考にならないわよ、天野くん」
赤崎さんが、ため息をつきながら僕に話しかける。
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