第24話 カフェで勉強会②
赤崎さんの場合は知識があることを前提に話してくるので、僕の知識が浅いと途端に分からなくなる。
「バカレオナ、シュウは励起がどういう状態かをまだ理解してねえんだよ。それ説明しなきゃわかんねえだろ!」
「励起の説明? えーと、鉄砲からダンガンが飛び出すイメージかしら?」
「なんだよ、お前も結局、イメージって言ってるじゃねえか! 俺と変わらねえじゃねえかよ! しかも分かりにくいし!」
「アンタみたいにイメージだけ伝えても数式が理解できないでしょうが! 大体アンタのイメージなんかより私のイメージの方が分かりやすいわよ!」
「いや、俺の方が分かりやすいね!」
「ていうか私言ったわよね? その髪の毛染め直しなさいって! まだ金髪のままじゃない!」
「話変えんな!」
二人がにらみ合って口論している。もうかれこれ1時間ほどこんな感じが続いている。二人とも一生懸命に僕に教えてくれるのだが、肝心の僕はというと全く理解できなかった。
「なあ、シンヤ……。シンヤは講義内容をなんで理解できるんだ?」
僕はシンヤに尋ねた。僕とシンヤの違いを分析するためだ。
「教科書読んだら大体わかるだろ?」
「教科書なら僕も読んでるよ。理解もしてるつもりだよ」
「シュウ、理解しているだけじゃ足りねーぜ?」
「え?」
「俺はレオナに言われたから仕方なく、この春休みにある程度教科書を購入して読んだ……」
「アンタ、私が忠告してなかったら春休み中、遊び呆けてたでしょ。そうでなかったら今頃は天野くんより悲惨な状態だったわよ。感謝しなさい!」
赤崎さんが、シンヤに説教する。そしてナチュラルに僕をディスる……。
「うるせえなあ。今はそんなことどうでもいいだろ? ま、話を戻すとだな。理解するだけじゃ足りないってのはな……。……シュウはこの量子物理学の教科書読んでどう思ったよ?」
「どう思ったって、『よく出来てる本だなあ』と、僕が他に読んだことのある書籍より比較的理解しやすく書いてるし……」
「甘いなシュウ! それじゃダメだ!」
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