第23話 カフェで勉強会

 土曜日、僕は時間通り、駅前のカフェに到着した。既に二人も到着していて席を取ってくれていた。


「ごめん、言い出しっぺの僕が一番おそくなっちゃって……」

「良いってことよ、なんか奢ってくれるんだろ?」

 シンヤがそう言うと、「そういうこと」と、赤崎さんが相槌を打つ。


「で、何が分からねえんだ?」


 シンヤの問いかけに、僕は素直に全部分からないと答えた。変にプライドを持って分ったフリをしても、後がしんどいだけだ。


「しゃあねえなあ。教えてやるよ! まずは金曜にやった最後の講義からでいいか?」

 シンヤがそう言いながら、説明を初めてくれたのだが……。


「だから、幽霊と同じイメージなんだよ。あの教授が言いたいのは、量子は消えるけど、現れるんだよ! その確率を表すのがこの式ってわけだ。」

 

 僕が授業で写したノートを指さしながら、説明してくれているのだが、さっぱりわからない。シンヤがいう幽霊のイメージと僕の持つ幽霊のイメージが違うからだろうか……。シンヤは講義の内容を説明するのに、ジェットコースターをイメージしろ! メリーゴーランドをイメージしろ! と分かりやすく説明しようとしてくれているのだが、僕には全く理解できない。


「だめよ、そんな教え方じゃあ! あんた、イメージ、イメージ言いすぎよ! そんな動物的な教え方で分かるのはアンタくらいよ!」


 見かねた赤崎さんが今度は私がやる、とシンヤを押しのける。


「良い? この式は量子内の素子の励起を表してるのよ! この素子が励起したときに量子が物質化するか否かが決まるのよ」


 赤崎さんの説明はシンヤより解説が多い分、わかりやすそうな気がするのだが……


「赤崎さん、この場合の励起するっていうのはどういう状態を示してるのかな……?」

「? 励起は励起よ」


 そんな「何言ってるの? 当然わかるでしょ」というような顔で僕を見ないでほしい……

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