第11話 僕はドMじゃないんです
「赤崎さん、あいつは何者なんですか?」
栗江の部屋……まあ、僕の部屋でもあったわけだが……そこから逃げ出し赤崎さんの部屋に向かう途中、僕は赤崎さんに尋ねた。もう関わりたくもないが、あの異常者の本性を知っておきたい。そういう興味本位からだった。
「見ての通りの変人よ。ああ、あいつの本性を周りの人間に話すのはやめた方が良いわよ。あいつ学園内ではおしとやかで通ってるから。話したが最後、報復を受けるわよ」
報復とはまた物騒な話だ。赤崎さんの忠告に従い、周囲に話すことはよしておこう。触らぬ神に祟りなし、だ。それにしてもあんなドS異常者がおしとやかで通ってるだって? 何かの冗談としか思えない。
「着いたわよ。ここが私の部屋」
当たり前だが、同じ寮内の部屋だから大して栗江の部屋と変わらない造りになっていた。机、家具、ベッドは2つずつあり、室内はカーテンで区切られている。大きく違うのは栗江の部屋が2階で、赤崎さんの部屋が3階ということだろうか。
「もともとはこの部屋に私と栗江が同居してたのよ。あいつが嫌がるから今年から別部屋になったんだけど……」
そういえば、赤崎さんが僕を栗江の部屋から連れ出してくれたときに話していたことで気になることがいくつかあった。赤崎さんに聞いておかなければ……
「赤崎さん、栗江の部屋に入った時に栗江の目的が僕とルームメイトになることだって言ってたけど、あれはどういうことですか? それに赤崎さんもなんで僕の名前を知ってたんですか?」
赤崎さんが僕の方を見てしばし沈黙があった。頭の中で考えをまとめているのだろう。5秒程度経って話し始めた。
「まず、名前を知っているのは、あなたがまあまあ、有名人だからよ。若くしてこの学園に入ってくるんだから。噂になるわ。そして栗江があなたとルームメイトになりたがった理由だけど、それはあんたを玩具……いえ、実験動物にするためよ」
実験動物だと? それなら僕に対するあの扱いも納得がいく。
「なんだって僕なんかを実験動物にしようとしたんだ?」
「さあ? それは分からないわ。でも実験動物を求めてる理由なら知ってるわよ。あなたも心当たりがあるんじゃないの?」
「心当たり?」
僕は少し考え、そして思い出した。
「赤崎さん、変なことを言うようだけど僕はドMじゃないんです」
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