第4話 合格そして入寮
猛勉強の甲斐もあり、結果は……合格だった。正直自信はあった……が、合格通知が届いた時は安堵したし、何よりうれしかった……。
それからはちょっとした騒動になった。どこから噂が飛んだのか、中学のクラスメイトや親族に知られてしまい、学校では「天野くん合格おめでとう、そしてさよなら会」という名の送別会が、父方の祖父の家でも「合格祝いの会」が設けられた。
クラスメイトからは、「お前、そんなに頭良かったのかよ!? 驚いたぜ。向こうに行っても頑張れ!!」と、親族からは「秀一郎は天野家の誇りだな!」と声をかけられた。
正直、普段は皆とあまりしゃべることがなく、クラスでは浮いた存在だと思っていたし、親族にも目立った存在だとは思われていなかったから、突然注目を浴びて称賛や激励の言葉をもらうのはなんだか恥ずかしかった。
でも、両親が親族や先生達と話しているときに喜んだ顔を見せていたので、恥ずかしいが悪くないと思う自分がいた。
そんなこんなで3月も半ばに入り、入学まで2週間に迫っていた。僕は入学準備に追われていた。川永学園の学生の服装は私服も可となっているが、一応制服も用意されている。僕はファッションに無頓着で、かっこいい私服を選ぶセンスもなかったので、制服を買った。黒色の学ランでほぼ中学の学生服と変わらず、あまり新鮮味のない感じだった。
また、住むところも探さなければならなかった。これについては川永学園の寮があるので、使用させてもらうことにした。2人部屋になってしまうが、食事付きだし、何より格安で住むことができるので家が裕福とは言えない僕にとっては最高の条件だった。
入寮の手続きを行い、3月末に引越しを行うことになった。といっても寮の部屋には箪笥や学習机といった家具は既に用意されているので、衣服、洗面用具、教科書、筆記具など身の回りのものだけアタッシュケースに詰め込み移動するだけだった。
寮に到着し、まず寮母さんに挨拶をしようと思い、管理人室に向かった。
「いらっしゃい! あなたが天野君ね? 待ってたわよ」
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