第6話 早起きは1万円使う

 まだ薄暗い夜明け前に目覚まし時計の音で目を覚ます。私は急いで、昨日のアイデアを形にした後、身支度を済ませて1階の台所へと降りていく。トーストしたパンにいちごのジャムを塗り、口の中に放り込む。


「なんだぁ? えらく早起きじゃないか。」


「急いで学校に行かなきゃいけないから!! その前にコンビニに寄らないといけないし!!」

 

 食べながらお母さんに答える。


「それにしたってもう少しゆっくり食べてもいいんじゃねえか? 喉詰まらせるぞ」


「大丈夫!大丈夫!」

 

 コップに入れた牛乳を飲みながら答える。善は急げっていうし、止まってる暇はないんだから。


「それじゃ行ってきます!!」

 

 かばんを持つと同時に靴を履き玄関を飛び出す。まずは通学途中にあるコンビニに向かわなければ!!


「えらいこと焦って出ていったなあ、あいつ。弁当忘れてら。どうにもあいつはそそっかしいな。一つ決めたらそれしか見えない。誰に似たんだかなあ。」




 コンビニに着いた私はコピー機の前で悪戦苦闘していた。


「なんで、思ったようにコピーできないかなあ?」


 私はどうもこういう機械物には弱いんだよなあ。タッチ画面のどこを押したらいいのかよくわからなかったけど、適当に押してたらなんとかコピーできるようになった。


「それにしても……カラーコピー1枚五十円は高すぎでしょ!」


 白黒コピーだったら十円で済むけどやっぱり目立つようにしなくては! ということで私は泣く泣く、少ない小遣いから一万円を使って二百枚カラーコピーしたんだ……

 コピーを終えると、私は印刷物をカバンに詰め込み、コンビニを後にして学校へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る