物心ついた時からいつも一緒にいたルディとリタは、五年間の遠距離恋愛も乗り越えて周囲の祝福を受け晴れて夫婦になりました。
リタとずっと一緒にいるために、隣にいるのに相応しい人間になるために、都に進学し教師となって故郷に戻ってきたルディ。
彼ら二人の望みどおり、二人寄り添って生きる幸せな日々はずっとずっと続くかと思われたのですが──
夢の中でだけ会えるリタや二人の穏やかな時間がとても美しく描かれ、それだけに夢から醒めた時のルディの苦しみが胸を抉られるように伝わってきます。
けれども、大切な人を失った者はその思い出を胸に抱きながらも生きなければならない。
いつかは前を向いて歩き出さなければならない。
それはとても辛いことだけれど痛むような悲しみの後にはきっと穏やかな時の流れに寄り添うことが出来るはず。
そんな風に思わせてくれる、素敵な物語です。