第7話 蒟蒻する林檎
貴女の声する方へ
私は完全に落ちぶれて腐っていた。カパカパで、みずみずさなんてなくなっていた。
どうしてかいろんな言葉を聞き間違えてしまって、みんなを困らせる。そのくらいには耳も腐れていた。
「腐ったのを立たせるのは苦労するよ」
「心が弱いんだよ」
私の話かと思った、本当に私の話かもしれなかった。いろんな人の話や噂が聞こえてくる。もちろん振り回されているのもわかる。だけど自分じゃどうしようもできない。どうすれば自分をコントロールできるのか。誰か教えてほしい。ふにゃふにゃでプルプルで嫌われ者で、周りから浮いてグズグズしてる。固いのか柔らかいのかわからない、とらえどころのない自分の形が、煮立っていく。どうして味が染み込むまで待てないのだろうか。暑くてすぐ出てしまう。
人に囲まれて、立ったまま話を聞く。小学校で終わりじゃない。偉い人からのお話。寓話。がんばるきこり。斧を研ぐだけで果たして彼はまた木を切れるようになるのだろうか。なんて思ってたら偉い人が続けた。例えであって、みなさんの斧は様々だと思います。効率化をはかるということだけではありません。それぞれの斧を磨くということをよく考えてみてください。
今日の夢は昨日の朝礼のせいだなとはっきり思う。このタイトルをつけた人はすごいな、がんばるきこり。がんばることは多少我慢してやりとおすことだ。がんばってるきこり。私とは違う。困って戸惑ってばかりじゃだめだ。
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