第8話 憂鬱する薔薇
貴女の匂いがする
優しくもないし人でなしの私は、林間のカフェでアメリカンコーヒーを3杯頼んだ。
お店の人は内心まだいるのかよとかガブ飲みだなあと思ったに違いない。私はこの憂鬱が晴れるまで帰る気はない。でも3杯目で憂鬱がさらに腫れていく気がして、急いで飲み干す。
私はすっかりどうすれば自分らしくいられるのか忘れてしまった。好きなことをしているのに、まるで嫌いなことのようだ。憂鬱を抱えたままカフェを出ると、薔薇が香る。
カフェの庭に薔薇が咲いている。いいにおい。たしか前に一度何か強い花の香りで頭が頭痛になったことがある。薔薇じゃなかったのか。思い出した。親がバラバラにいろんな花を植えている花壇のヒヤシンスだ。ふわっと香ったかと思ったら頭痛がいたかった。
頭の痛みと花の香りと実家の花壇と喫茶の珈琲。そしてこの気持ち。
最近変な夢をよく見る
ただの記憶の集まり
目は動いてる
1人だけの上映会
中途覚醒だ
悪夢というより変な夢
きっと疲れてるんだろう
きっと眠れてないんだろう
もっと疲れている人がいる
もっと眠れない人がいる
それなのに私なんかが
気分は落ち込まないように
いろんなことをしてる
私が多趣味になった理由
中途半端だ
私の手は味は声はにおいはどんな感じ?
私の見る世界はどんな感じ?
私の感じる世界はどんな感じ?
否定しないで無視しないで
通り過ぎようとしないで
あきらめないで
みすてないで
だまらないで
かくさないで
私は貴女を探している
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます