第4話 薔薇香る憂鬱
貴女は
朝から変な夢見たなあ。
鬱陶しい髪を切りさっぱりした頭をセットする。といっても甘い香りのワックスでテキトーにくしゃくしゃする。
私は次の瞬間、鬱蒼と草の生い茂る森に寝転んでいた。と思ったらその下の土の中に沈んでいく。ナニコレ、何!ちょっと!待って待って!
私はズブズブと沈んでいく。根っこに何度も引っかかりそうになるのに、自然とすり抜けていく。たどり着いた根っこの届かない土の中には人、人、人。みんなこんがらがった頭で、髪もボサボサ、起きてすぐ連れてこられたみたいな人もいる。そして口々に言う。
「「「「これは夢だ!」」」」
そう言ってみんなしてちょっと微笑んでる。他人なのに仲よさそうで、そんな中に私みたいなのが1人混じってきていいのかなんて思う。いやいや夢でもおかしいでしょ?そんな風に思う私がおかしいのかな?おかしいの基準がわからないほどおかしくなっていく。
私は目をつぶってもう一度寝ることにした。何より土の中は温かくて、日差しが入らなくて、何だか薔薇の香りがした。だけどここが土の中なら私は冬眠することになるのかなあ。春になって5月になったはずだけど、眠り続けるのかなあ?せっかくここまで頑張って気分も変えようと髪も切ったのに。薔薇の香りの香水をつけた長い髪の人を思い出したら、苦しい、暑い。でも寝ていたい、起きなくちゃ。でもでも、まだこうしていたい。
憂鬱なまま目を開けた。
動き出せ、現実をいきろ
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