おりじなる0001「ヘラジカ、スカウトにもえる」

「ジャガー!今日こそわたし勝負だ!!」


「きみもしつこいなぁ…あたしは勝負はしないよ」


「む?つまり仲間になってくれるということか!」


「前にも言ったけど、あたしは1人の方が気楽で好きなんだ」



行ってしまった…。

やはり、今日もスカウトは失敗か。

あいつが仲間になってくれれば、かなりの戦力になるというのに。



もちろん、現状の戦力に不満があるわけではないが。

部下たちも良くやってくれている。

頼もしい限りだ。

しかし、味方は多いに越したことは無いからな。


次はあいつのところへ行ってみるか。





「やあやあ、わたしはヘラジカ!お前に話があって来た!」


「私に…?もしかして、また仲間とか勝負の話かい?」


「わかっているじゃないか!準備万端ということか!」


「いや、そういうわけじゃないんだけど…でも、君のそういった熱いところは好きだよ。次回作の主人公にしてもいいかもね」


「…またマンガを描いているのか?」


「そうだね。だから、勝負とかの話はまた今度にしてもらえるかな」


「ふむ…ならば仕方ない。また出直すとしよう」



タイリクオオカミ…こいつの素早さは必ず役に立つ。

しかも、力も強いと来た。

しかし、ダメか…中々上手くいかないものだな。


次は誰にしようか。








「今日もパトロールか、ジャッカル!」


「やぁ、ヘラジカ。そうだよ!日々のパトロールが、パークの平和に繋がるからね!」


「そんなお前を見込んで言わせてもらう。わたしの仲間にならないか?」


「えっと、ヘラジカとはもうお友達だと思っているんだけど」


「そういう意味じゃない。わたしの部下になって、一緒に闘おう!」


「うーん、前にも言ったけど、ボクは正義のない闘いはしないから…ごめんね」


「ふむ…自分の意思をまっすぐ貫く、その精神。やはり仲間に欲しかったが…」


「セルリアンを退治する時は是非呼んでよ!加勢するからさ!」


「うむ、そうしよう。頼もしい味方だ!」


「じゃあ、ボクはまだパトロールがあるから、またね!」



セグロジャッカルもダメか。

毎日トレーニングを欠かさないと聞いたから、即戦力だと思ってはいるのだが。

まぁ、セルリアンが出たら協力してもらおう。

この間も、大きなセルリアンを倒したと聞いたしな。期待出来る。



さて、次は…。







「はろー、ヘラジカ。私に何か用?」


「ハクトウワシ、今日はお前を仲間にしたくてここに来た!」


「私を?どうして?」


「お前の飛行能力と、遠くまで見渡せる視力があれば、試合を有利に運べると思ってな」


「褒められるのは嬉しいけれど…飛ぶのなら、あなたのところにもハシビロコウがいるじゃない」


「あいつは滅多と飛ばないんだ…わたしですら、飛んでいるところは数えられるほどしか見たことない」


「そうなのね…でも、お断りするわ。私は自由気ままに飛んでいるのが好きなの」


「むむ……そうか。残念だ」


「ごめんなさいね。じゃあ、私はまたひとっ飛びしてくるわね。れっつ・じゃすてぃす!」



行ってしまったか。

あの飛行速度と視力があればと思ったが。


またしても誰も仲間に出来なかったか。

まぁいい。明日がある。

今日のところは部下のもとへ帰るとしよう。







「あ、ヘラジカ様、おかえりなさいでござる〜!」


「うむ。留守番、ご苦労であった」


「…今日も仲間を探しに?」


「あぁ。戦力に多いことに越したことは無い。しかし、誰一人として仲間になってくれないんだ。難しいものだな」


「心配ないでござる。拙者達がもっと強くなって、ヘラジカ様を安心させるでござるよ」


「うん…私も、もっと頑張るよ」


「カメレオン…ハシビロコウ……よし、そうと決まれば、今から皆で特訓と作戦会議だ!」



わたしは、良い部下に恵まれた。

やはり、この部下たちだけでも、戦力は充分だな。







……さて、明日はカバのところにでも行ってみるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る