0497あふたー「ひとりじゃダメでも」

ボクはセグロジャッカル。

パークの平和を守るために、今日もパトロール中だ。



今日はさばんなをパトロールしていたんだけど、そこで出会ったアライグマも一緒にパトロールすることになったんだ。

頼もしい仲間が出来たよ!



さて、困ってる子はいないかー?

…前方に何やら困り顔のフレンズ発見!

早速アライグマと一緒に話しかけてみよう!



「はぁ…困ったっすねぇ…」


「やぁ、ビーバー。困ってるようだけど、どうかしたのかい?」


「困ってることがあるなら、何でも言うのだ!」


「アライさんにセグロジャッカルさん…実は…」



事情を聞いたところ、どうやら新しい小屋を建てようとしたが、1人じゃどうしても出来ない事があって困っていたらしい。

それくらい、ボク…いや、ボクたちに任せてよ!



「ほんとっすか?助かるっす!」


「じゃあ、まず何をすればいい?」


「そうっすね…まずはこの木を持ち上げて、そこに立ててほしいっす」


「任せるのだ!…ぐぬぬ、結構重いのだ…」


「む、無理はしないでほしいっす。小屋を作るのを諦めれば済む話っすから…」



そういうわけにはいかない。

ボクはアライグマと協力して、重い木をなんとか持ち上げた。

本当に重かった…ビーバーはどうやってここまで運んだんだろう?



その後も3人で協力して、ついに立派な小屋ができた!

すごい達成感だ。ビーバーも嬉しそう!



「完璧っす…計画してた以上に素敵な小屋が出来たっす…!2人のおかげっす、感謝するっす!」


「こっちまで嬉しくなってくるよ!また困ったことがあったらいつでも言って!」


「アライさん達にお任せなのだ!」



いい事をした後は気分がいいね!

この調子で困ってるをどんどん探そう!


しばらく歩いていると、再び困り顔のフレンズを発見!

話を聞いてみよう!



「ちっ…ここにも無いか」


「ツチノコなのだ!何か困り事か?」


「!? き、きしゃーー!!!…ってなんだ、お前らか…」


「驚かせてごめんよ。何か困ってることがあるなら、ボクたちが手伝ってあげるよ!」


「…まぁ、話すだけ話してやるとするか」



ツチノコは、”じゃぱりこいん”を探しているらしい。

とても貴重で大切なものだったんだけど、セルリアンと戦っているうちに落としちゃったみたい。


早速、アライグマと手分けして周辺を散策。

とても小さくて薄くて丸いものらしいから、見つけるのは難しそうだけど…きっと見つかるよね!








──見つからなかった。

これだけ探したのに、どこにもない。

困っている子を助けてあげられなかった…すごく悔しくて、すごく申し訳ない。



「やっぱりここには無いみたいだな。…一緒に探してくれてありがとよ」



ボクとアライグマを気遣ってか、ツチノコは顔を背けながらも礼を言ってくれる。

これじゃダメだ…こんなんじゃ平和を守れない!

もう少し探そう!…そう言おうとした時、アライグマが何かを取り出した。



「その…代わりにこれをやるのだ。アライさんがこの前見つけたお宝なのだ」


「いらねぇよ、んなもん……って、お前、それはぁ!?」



ツチノコがアライグマの持っている物を見た瞬間、すごい声をあげる。

とても驚いているみたいだ…一体なんなんだろう。



「これ、そんなにすごい物なのか?」


「こ、これは水筒と言ってだな、飲み水これに入れて持ち運び出来てとても便利な…はっ!なんだこのやろー!きしゃー!」


「えっと…とにかく凄いんだね」


「そんな物を拾っていたとはびっくりなのだ…今日はこれで勘弁してほしいのだ」


「ま、まぁいい。これも貴重な物だしな」



ツチノコが照れ笑いしている。

完全解決じゃなかったけど、笑顔は守られたかな!よかった!





ツチノコと別れてすぐのこと。

尻餅をついているフレンズが居る…アードウルフだ!

その先には…セルリアン!?

しかも、結構な大きさだ…助けてあげなきゃ!



「大丈夫か、アードウルフ!」


「せ、セグロジャッカルさんにアライさん…良かった…」


「アライさん達が来たからにはもう大丈夫なのだ!アードウルフは下がっているのだ!」


「は、はい…ありがとうございます……!」



ボクとアライさんがセルリアンと対峙する。

アードウルフが無事でほんとに良かった。




「アライグマ!ボクが囮になるから、その隙に背中の石を攻撃して!」


「わ、わかったのだ…ちょっと怖いけど、やってやるのだ…!」



本当はアライグマを巻き込むのも嫌だけど…1人じゃ厳しいし、ここは2人で協力しないと!


早速、ボクが背中に回り込む。

セルリアンはボクを追うように、アライグマに背中を向ける。



「今だよ!」


「たあああああああ!!!」



アライグマの渾身の一撃が、セルリアンの石を砕…かない!?

このセルリアン、堅いぞ!



「あ、アライさんの攻撃が効いてないのだ…!あ、あぁ…!」



攻撃を受けたセルリアンがアライグマの方を向いた…まずい!



「アライグマ!逃げて!」


「だ、ダメなのだ…腰が抜けて…」


「アライグマー!!」



目を瞑って体を縮こませているアライグマに、セルリアンが大きな腕を振り下ろす。

こうなったら…!







「(フェネック…今までありがとうなのだ…アライさんがいなくなっても…元気でいてほしいのだ……)」

「(あと、おやつのじゃぱりまんを洗っちゃってごめんなさいなのだ……掘った巣穴を埋めちゃってごめんなさいなのだ…)」

「(というか、全然攻撃が来ないのだ…どうなっているのだ?)」


「ふぇ…?せ、セルリアンがいなくなっているのだ…!」


「ふぅ…間に合って良かった」


「お、お前が倒したのか!?す、凄いのだ!!命の恩人なのだ…!」


「えへへ、ちょっと本気出しちゃったけどね。誰も怪我しなくて良かったよ」



久しぶりに野生解放しちゃった。

疲れるからあまりやりたくないんだけど…やらなきゃアライグマが大変なことになってたからね。

岩陰に隠れていたアードウルフも出てくる。

ほんと、みんな無事で何よりだ。



「あ、あの……ありがとうございます…!助けてくれて……こ、これ、食べてください…!」



アードウルフがボクたちにじゃぱりまんをくれた。

困っている子を助けるのは当たり前だから、断ろうかとも思ったんだけど…善意は受け取らなきゃね。

それに、野生解放してお腹もへってるし…アライグマはもう食べ終わってる!



「ありがとう!…すっごくおいしい!いい事をした後に食べるじゃぱりまんは最高だね」


「あ、あとこれも…何なのかはわかりませんが、綺麗だったので拾っておいたんですが……」



アードウルフが取り出したのは、丸くて薄くて小さい…もしかして、これがツチノコの探していたじゃぱりこいんってやつか!?



「これ、きっとツチノコのだよ!ボクが後で渡しておくね」


「そ、そうだったんですか……はい、よろしくお願いします」


「これで万事解決なのだー!ちょっとかっこ悪いところもあったけど、あれも作戦のうちなのだ!アライさんにかかれば、これくらい楽勝なのだ!ふははははー!」


「…そうだね、アライグマがいなかったら、今日は1人も助けられなかったかも。ボクもまだまだトレーニングが足りないな」



ビーバーの小屋作りも、ツチノコのお宝探しも、セルリアン退治も。

きっとアライグマが居なかったら、解決出来なかったかもしれない。

1人じゃダメでも、2人なら。

今日はアライグマから色々教わった気がするよ。



「あの……わたしはこれで…。今日は本当にありがとうございました…また改めてお礼させてくださいね…!」


「また何かあったらいつでも呼んで!」


「アライさん達におまかせなのだ!」



アードウルフがにこやかに微笑んで歩き去っていった。

それと入れ替わるように、別のフレンズがこちらへ向かってくる。



「あ、いたいたー。アライさーん、勝手にいなくならないでよー」


「ふぇ、ふぇねっく…フェネックー!!」


「えーっと…これはどういうことなのかなー?」



アライグマがフェネックに泣きながら抱きついた。

やっぱり、あの大きさのセルリアンと戦うのは怖かったよね…。

って、フェネックがボクに疑いの眼差しを向けてる!誤解だよ!



落ち着いたアライグマが、今日あったことを順を追って説明する。

どうやら、フェネックの誤解も解けたようだ。



「アライさんを守ってくれてありがとー。さっきは変な目で見てごめんねー」


「気にしないで!ボクも気にしてないしね」


「それじゃあアライさん、そろそろ行こっかー」


「わかったのだ。セグロジャッカル、今日は楽しかったのだ。また一緒に、パークのへいわを守るのだ!」


「ボクも楽しかったよ!君たちも困ったことがあったら、いつでも呼んでね!」







アライグマ、フェネックと別れ、1人になる。

今日は日も暮れてきたし、ゆっくり休んで明日に備えよう。

ツチノコにこれを渡しに行くのも…明日でいいかな。





今日もパークの平和を守れた!

明日も元気にパトロールだ!

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