0035あふたー「きのうえでおやすみ」

さばんなちほーには、ところどころに木が生えている。

その中でも一際目立つ大きな木の枝に腰掛ける、2人のフレンズの姿。

サーバルとジャガーである。



「木の上で食べるじゃぱりまんもおいしいなー!」


「確かに、いつもより美味しく感じるよ。持ってきておいてよかった」



今からほんの少し前、サーバルが一休みできるような木を探していたところ、散歩中だったジャガーを見かけ声をかけた。

そして、ジャガーはサーバルの提案で共に眺めの良い木の上に登り、じゃぱりまんを頬張りながらまったりとした時間を過ごしている。



「今日はそろそろじゃんぐるへ帰ろうと思っていたからね。サーバルと会えて良かったよ」


「わたしも、今日はライオンと遊ぼうと思ってたんだけど…」


「寝てたのか?」



サーバルが言い終わる前に、ジャガーが次の言葉を予測したように言った。

ライオンは、一日中寝ていることで有名である。

やる時はやるのだが、激しく動いている場面を目撃することは少ない。



「そうなんだよー。あとでならいいって言うから、それまで木の上でお休みしてよっかなって」


「じゃあ、このあとはライオンと遊ぶのかい?」


「そうだよ。……そうだ!」



何かを思いついたようにジャガーに顔を向ける。

ジャガーも、それに対応するようにサーバルと顔を合わせる。



「ジャガーも一緒にライオンと遊ぼうよ!」


「あたしも?別に構わないよ、今日は暇だしね」


「やったー!フレンズが多い方が楽しいし、きっとライオンも喜ぶよ!」



嬉しそうに笑顔を浮かべるサーバル。

それに釣られて、ジャガーも笑みを浮かべる。


それから少しして、じゃぱりまんを食べ終わった2人は、ライオンと何をして遊ぶのか、という議題で話し合いを始めた。



「ライオンのやる気が出るような遊びがいいかな…なにがあるだろう?」


「合戦とかかなー、わたしもたまに一緒にやるんだよ」


「あぁ、ヘラジカたちといつもやってるって聞いたことがあるな。それならライオンも起きてくれるかも」


「合戦の時もライオンは寝てることが多いんだけどね。……そういえば」



あははと苦笑いを浮かべるサーバルであったが、何か疑問が浮かんだのか、再びジャガーに顔を向けた。



「ジャガーとライオンはどっちのが強いのかなー?」


「えぇ〜……。うーん…闘ったことないからなぁ」



サーバルの唐突な疑問を受け、右手を後頭部に添え、少し困ったような表情をするジャガー。



「ジャガーもすっごく強いよね。わたし気になっちゃって」


「まぁ、力に自信が無いわけじゃないけど……全然わからん」



頭の中でライオンと闘っているイメージを描こうとするジャガーだが、どう頑張っても寝ている映像しか浮かばない。

それもそのはず、ジャガーはライオンが闘っているところを見たことが1度もない。

いつも寝ているがとにかく強い、そういうイメージしかなかった。



「…まぁ、どっちも強いんじゃないかな」


「そっかー!やっぱりジャガーもライオンもすごいね!」



自分で言うのもなんだか気恥しかったが、ライオンの実力がわからない以上は、こう言ってやるのが1番だとジャガーは考えた。

そしてそれを聞いたサーバルも、納得したかのように答える。



「ふぁぁ……じゃぱりまん食べたら、ちょっと眠くなってきちゃった」


「ここで少し眠ってから、ライオンのところに行こうか。あたしもサーバルを見てたら……ふぁ…」



大きなあくびをして目をこするサーバルを見てジャガーがそう提案するが、あくびが移ったのかジャガーも小さく口を開け、目を細める。



「じゃあ、ちょっとだけおやすみ〜…」


「おやすみ。あたしも少し寝ておくよ」



2人は自分達が座っているのがしっかりとした丈夫な枝であることを改めて確認した後、浅い眠りにつくのであった。

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