社会の中で生きる以上、人は誰かに自分を決めてもらう必要がある。しかしそれを頑なに拒んだ時、社会は突然牙を剥く。お前はお前だが、社会はそれを認めはしない。しかしお前は社会の中で生きろ。そういう時に、黒猫が現れるのだ……。
「猫夢」の感想です。ひょんなことからとある黒猫と出会い、人の心や他者とのかかわりについて語り合ったことが文豪のような文章力でつづられており、とても興味深い作品でした。彼等と一緒に哲学的な問いについて考えること、そして切なさを孕みつつもどこか爽やかで素敵なラストを享受させて頂きました。