淡月さん、『敗者の街』二次創作(許可済)

※注意です! この作品には以下の成分が含まれます!


 ・首ポロ

 ・原作崩壊

 ・K-sukelemonの性癖による性癖のための小説

 ・とりあえず淡月さんに謝れ


 それでもいい方は、どうぞご覧下しあ。あと、原作完読推奨。


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 これは、敗者の街で起こった……のかどうかはわからないが、起こったかもしれない日常。

 ある朝、敗者の街その中でカミーユは起きた。と言っても、寝なくても問題ないのだが。

「ンッンーッ」

 カミーユは、そのまま曇った空を見上げる。

 どんよりと言う言葉では表しきれない、鬱屈とした空。ここはイギリスなのか、はたまたドイツなのか、と言う話を聞いたが、カミーユにとってはどうでもいいことであった。いや、実際どうでも良くは思っていなかったりするのだが。

「さて、……とりあえずロデリックにでも『いじられに』いくか……」

 いじる、ではなくいじられるの方を選ぶッ、それがカミーユである。ただ。

 今日の街は、大分違った。

「あれ……虹?」

 おかしい、常時霧に包まれ曇っているはずの街に『虹ができている』。

 カミーユは、興味本位でその見える方向へと足を進めるのだが。

「あー……、どうしよっかな、ちょっとアドルフとかいう警官紹介されたから、けしかけてみよかな。うん」

 クズである。しかし、そうするまでもなくカミーユはある発見をする。

 人影。

 自分のように、首を落としてしまうような人間の類ではなさそうだ、と思ったら自分の首がごとっと落ちた。

「ッ!?」

 金髪の少女は、その音に気付いてこちらを振り向く。そして、見るなり……。

 蒼い顔をして、一目散に路地に逃げた。当たり前だ!

「おじょうさーん! 怖くないよー!」

 逆効果である。

「ちょ、ちょっと今日は首の調子が悪くてさッ! ほら、よくあることジャン!?」

 カミーユは、何とかして頭をくっつける。もしくは乗っける。そして、少女を追いかけた。

「いやあああああああああああああああ変人! 変態!」

「いや、変人だけど、変態じゃないから! ちょっと悪意を持って殺されることにえも言われない快感を覚えたりするだけだから」

 早口でまくし立てるが、弁解にはなっていなかった。

 二人は走る走る。この町には、某チンピラがうろついていたりするため、基本的に危険なのだ。カミーユはカミーユなりに安全を確保してやろうとしたのも事実。

 そうしているうちに、路地の突き当りに着いた。

「へ、へへッ! もう逃げられないぞん!」

「わ、わ、私の貞操があああああああ」

「いや、そういうつもりじゃないんだけど」

 どうにか少女を落ち着かせようと(というのもその原因はカミーユだが)、思案するカミーユ。

「あ、えと。僕はカミーユ。絵描きをやってるんだ! 首はその、特殊な事情があってだね」

「なにいきなり!?」

 そして、時は流れる。


「へぇー。ルーナっていうんだ」

「そう、ルーナ。ルーナ・ルクセンブルグ」

 少女は、金髪の頭を掻きながら、けだるげにつぶやく。

「なんか、怪しげなメールを開いてから外に出たら、こんな街にいて……」

「両親は?」

「いない。ずっと児童養護施設で育ったからね」

「へえ……」

「何その眼? さっきからカミーユさん気持ち悪いんですけど」

「ああ……」

 恍惚とした表情のカミーユ。

「……なんか、まともに話が通じなさそう」

「そんなことないよ! 僕は、いたって真面目な絵描きだから」

 気になる人は本編を読むべきである。いかに異常か分かる。

「どうやったら帰れるんだろう……」

「それは……わからないね!」

「いや、なんでよ!? 貴方もこの町の中に来たんでしょ!」

「うーん。なんというか謎が多いんだよねぇ。この街」

 すると、ルーナはぐったりとして、考え込んだ。ベンチに座る彼女の姿は、はかなげだ。

「ずっと一方向に歩いて移動しても、反対側の路地から出てくるし……ね。気付いたら霧で前が見えなくなって、迷ったら元の場所にいるみたいな」

 敗者の街に呼ばれた……と言うことは、この少女も所謂『負け組』なのだろうか。それか、『迷い子の森』だとしたら、なにか罪を犯したのだろうか。

「なんだかさ、……ちょっとね」

 少女は淡く笑う。

「こういうところで野垂れ死んでもいいかなぁ、なんて思っちゃったりしたんだよね……」

「それは、悪いことなのかい?」

 カミーユは、少し顔を俯けて聞く。

「まあ、悪いことなんじゃないの? わたしにも生んでくれた母さんや父さんがいるわけだし……。会ったことないけど」

 カミーユは、あえて理由を聞かなかった。そうしているうちに夜になる。

「あー……そうだ。起きたと思ったら、結構正午を過ぎてからだった……!」

「え、どしたらいいの!?」

「うーん。ロデリックの家に泊めてもらうのは……うん。それでいいか」

「ロデリック?」

「いや、こっちの話。この町はね、ちょっと頭が悪いチンピラがぶらついたりするからさ」

 カミーユは、そのまま少女を連れていくが。

 霧。全くの霧の中。

「うーん。なんかカミーユさんっていい人なんだね! なんだかんだ言って」

「なんだかんだ言っては余計だって」

「そう言えば、なんて名前なの?」

「えと……。Sangかな?」

「……」

 彼女は、その場で立ち止まる。

「どうしたの?」

「ゴメン……。やっぱり……」

 少女は、口を開いた。

「私は、帰りたいや」

「え」

 彼女は、金髪を揺らして、路地を走る。霧の中に埋もれていく彼女。

「ちょっと待って!」

 しかし、手を伸ばした先には、彼女の姿はなかった。


 翌日、カミーユは目を覚ます。

 果たして、あれは明晰夢か。それとも。

「……とりあえず、ロデリックにいじられに行きますか……」

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