第33話 一一九地編5

○超訳 11-5


前例にないほどの膨大な報酬と、

通常よりも遥かに重い罰則を運用せよ。


これにより、大部隊を

意のままに操りやすくなる。

しからば命令にては、

何を為すべきかのみを告げ、

その目的は告げるな。

その作戦を行わぬ時に生じる

リスクのみを告げ、メリットは伏せよ。


これらの措置により、

全軍の勝手な動きを抑え込むが叶う。


兵らを激戦地に放り込めば、

いやでも覚悟を決める。

死地に放り込めば、いやでも戦う。

人間と言うものは、窮地に陥らねば

全力を尽くせぬものである。

そして全力を尽くした末に、

初めて初めて勝敗は占えるのである。


戦争にては、いかに的確に敵の意を汲み、

決勝点に戦力を注ぎ込めるか、

が全てと言って良い。

この一点が為せるのならば、

遥か遠方の敵将とて

容易く討ち取れよう。



以上を踏まえ、開戦である。


関所を閉じ、全割り符を無効化し、

使者の往来も遮断せよ。


作戦会議は宮中の深奥で為し、

決して外部に漏れぬようにせよ。

敵国の隙を見出したならば、

速やかに打って出よ。


先んじて狙うべきは敵の急所であるが、

こちらの狙いは悟られぬようにせよ。


ここまでに述べてきたルールに従い、

敵に対応し、速やかなる決着を目指せ。


この点を端的に纏めれば、

以下のようになろう。


始如處女、敵人開戶、

後如脫兔、敵不及拒。

 始めは処女の如くなれば、

 敵人は戸を開かん。

 後には脱兎の如くなれば、

 敵は拒むに及ばず。


開戦までは極力徴候を殺し、

いざ開戦ともなれば、

一気呵成に攻め、また撤退する。


これが天下に

覇をなすための戦い方である。



○明暗テンプレ 11-5


賞罰を大きくつける。 11-5-1

命令は行動、及び行動なき場合のデメリットのみを告げ、意図は告げない。 11-5-2

的確に敵の意を汲み、決勝点に戦力を注ぎ込む 11-5-3

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