第26話 一〇地形編1

○超訳 10-1


孫子は言う。地形には6つの属性がある。


1:通。

 誰もが自由に行き来できる場である。

 この場での戦闘は、先に高地に布陣し、

 展望の聞く場所に軍資を運び込めたものが

 有利となる。


2:挂。

 進軍はたやすいが、後退が難しい地。

 敵が満足な備えをしておらねば良いが、

 敵の備えが万全であった場合、

 後退が難しく、窮地に立たされる。


3:支。

 こちらにとっても、敵にとっても

 不利を被る地。

 例えば河川などがこれである。

 近付かぬようにせねばならないが、

 敵が中途半端にこの地を抜けつつあるとき

 攻撃を加えることができれば、

 大打撃を与えられよう。


4:隘

 文字通りの、手狭な地。

 先に占拠し、手勢で塞いでしまえば、

 少ない手勢で守ることが可能である。

 逆に敵に占拠されておった場合、

 万が一、守備に穴があるようであれば、

 攻撃を仕掛け、打ち破るのが良い。


5:險。

 高山など、一度占拠してしまえば

 圧倒的な守りの高さを示す地。

 見晴らしの良い地を速やかに確保し、

 敵を待つ。

 敵に先に占拠されてしまったのであれば、

 その戦闘領域から脱出せよ。

 こちらからは仕掛けぬように。


6:遠。

 この地では、勢いが同等となり、

 戦いを仕掛けるのが難しい。


これらが特性、及び対処法である。

将軍は戦場となる地の特性をよく観察し、

対策を打たねばならぬ。



敵を攻撃するタイミングや、

取りうる攻撃手段を理解していても、

地形に応じた戦いができねば、

打撃力は半減する。


これらを深く理解したうえで出撃すれば、

いったん動き出したら停滞なく、

判断が錯綜する、等といったこともない。


故に言う。

彼と我とを知れば、勝ちに危うげはない。

更に天と地とを知っておれば、

およそ敗れることもあるまい。



○明暗テンプレ 10-1


地形の属性と、その対応原則を理解している。 10-1-1

・往来が容易い地では、最優先で有利な地を確保する。

・後退が難しい地では、敵の備えが万全である場合は迂闊に仕掛けない。

・行き来のコストが甚大である地には、近付かぬようにする。

・手狭な地や山頂などは防御拠点として有用である。

戦場の地形に応じた戦い方に基づき、作戦を組み立てる。 10-1-2

敵、味方、天候、地形、あらゆるものを加味した上での戦いを勘案する。 10-1-3

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