第14話 〇六虚実編1

○超訳 6-1


孫子は言う。


戦場には、原則として

先に乗り込むのが良い。

待ち受けさえ出来ておれば、

幾らでも士気を高められるからである。

逆に遅れて馳せ参じれば、

ろくろく準備も整わぬ間に

戦わねばならぬ。


この原則をよく理解しておるから、

戦争巧者は相手を翻弄こそすれ、

翻弄されることはない。


敵を上手く操るためには、

いかに敵に利益と損害とを

ちらつかせるか、に掛かっている。


敵の意気が盛んであれば

まずは疲労するよう仕向ける。


敵の腹が満ちているのであれば、

飢えるよう仕向ける。


敵がどっしりと構えているならば、

構えを崩す。


敵が出現するであろう箇所に

先んじて駆けつけよ。

駆けつけられれば、敵の不意を伐てよう。


長距離を移動しても

さほど疲れずに済ますためには、

会敵に警戒せずに済むようにする。


攻めたる先を必ず落とすには、

守りなき先を攻めるようにする。

つまり、敵に攻める先を

悟らせぬようにする。


強固な守りを維持するためには、

敵に攻められぬようにする。

つまり、手薄とならざるを得ぬ箇所を

敵に悟られぬようにする。


いかにして作戦行動の徴候を

表に出さぬようにするか。

ここに重きを置けば、敵にも

対応のための手掛かりを与えずに済もう。

さすれば、より敵を翻弄しやすくなる、

と言うものである。


こちらの進軍を、敵が防げない。

その虚を突くためである。

更に、そこから速やかに退去する。

これを徹底できれば、

敵は防げず、迎撃も出来ずで

為す術がない。


たとい敵が万全の守りを固めたとて、

救援せざるを得ぬ箇所を衝けば、

動くしかあるまい。


また、こちらが戦いたくないのであれば、

相手に攻めたくない、と思わせれば良い。

さすれば敵は地に引いた一本の線をすら、

乗り越えようとは思わず、立ち去ろう。

攻めるべき場所ではない、と

思い込ませているためである。




○明暗テンプレ 6-1


戦場に先に乗り込み、準備を整える。 6-1-1

敵の守りを薄くするために翻弄する。 6-1-2

会敵への警戒が、進軍時の疲労度を倍増させることを理解している。 6-1-3

作戦行動の徴候を隠匿する。 6-1-4

不意打ち即脱出を旨とする。 6-1-5

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