第13話 〇五兵勢編2
○超訳 5-2
激しく流れる河川の水が
石をも押し流す。
勢とは、このような状態である。
素早く空を駆ける鷹が、
瞬く間に獲物を捕らえる。
節とは、このような有様である。
戦争巧者は、濁流の如く攻め、
鷹の如く、速やかに急所を射抜く。
兵器として例えれば、
勢とは弩の弦が強く引き絞られた様、
節とはまさに矢が放たれた瞬間、
となろうか。
戦いが紛糾しようとも、
軍容を乱してはならぬ。
敵の布陣に対応しようとしても、
付け入る隙を与えてはならぬ。
ひとたび整った軍が乱れれば、
勇士にも怯懦の気持ちが芽生える。
そうなれば、強かったはずの軍も、
瞬く間に弱卒の群れとなろう。
いかにして、敵の盤石の体制を崩そうか。
餌を撒き、敵をおびき寄せればよい。
弱点をついた、と思わせたところを、
反対に狩り尽くせば良いのである。
勝算を見出だしていた箇所が
罠であったことに気付いた敵は、
大いにその軍容を乱すこととなろう。
戦争巧者は、
戦いの成否を「勢」に依拠する。
そこが最も重要なのであるから、
戦争に従事する個々人に
責任を求めるのは、どだいお門違いである。
為すべきことを為すことのできる者を、
的確に配置する。
後は、作りだした「勢」に乗せる。
「勢」に任せて戦いを展開さえできれば、
その戦いに従事する者の士気は、
否応なしに上がる。
木や石を転がすことを思い出せばよい。
斜面がなだらかであれば木石は止まり、
斜面が急であれば急速に落下する。
ごつごつしていれば加速せぬし、
丸ければ勢いよく加速する。
戦巧者が生み出す「勢」は、
断崖の絶壁に、
丸い石を投げ落とすようなものである。
○明暗テンプレ 5-2
戦いの成否を、大きな流れとして見る。その流れをより激しくさせることに腐心する。 5-2-1
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