夢乃と綾乃
「ねね、綾乃ちゃん」
「うん? なに?」
場所は市川さん姉妹のご家族所有の別荘の広間。
今は二人で向かい合ってお茶飲んでいる。
私達がここに来ることになったのは、本当に偶然というか話の流れで何だけど、本当に来ちゃって良かったのかなぁなんて思ってるわけ。
だって知ってる人って言ってもシンジ君たち兄妹とカレンさんだけだし、市川さん姉妹とは会ったことはあるけどこんなところにまで遊びにお邪魔できるほど仲がいいなんて言えない。
それなのにここにいる。
――なんか不思議な感じ。
「私達ってここに何しに来たのかなぁ……?」
「何言ってるの? 誘われた時に行きたぁ~いって言ったのは夢乃でしょう?」
「そうだけどさぁ。みんないい人なんだよ。いい人たちだからこそ、ここで混ざっちゃってていいのかなぁっててん」
「いいんじゃない? だって、あの
「ないないない!!」
大きく顔の前で手をブンブンと交差しながら否定する。
「そうなの?」
「そうだよう!! それにあのアイドルのカレンさんがいるし、響子さんと理央さんもすんごく綺麗だし、カワイイ伊織ちゃんもいるし、真司君シスコンだし」
「シスコンは関係ないと思うけど」
「そ、そうだね」
その会話の後しばらく黙って二人でお茶を飲む。
「ねね、綾乃ちゃん」
「うん? なに?」
「私達ってここに何しに来たのかなぁ……?」
――なんてことを聞いてくるのかしらねぇ。自分で言ってきたくせに。
だいたい何しにって……
本当どうして私もここに来ちゃったんだろう?
あそこであんな風に姉と別れてから凄く寂しかったのは確かだけど、今までの私ならここには一緒に来たりしなかっただろうなぁ。
「何言ってるの? 誘われた時に行きたぁ~いって言ったのは夢乃でしょう?」
なんて言っちゃったけど、本当は自分でも良くわからないから夢乃のせいにしただけなんだよね。
あの兄妹は何を見てているんだろう?
視えるって事がどういう事なのかなんて私達からしたら全然わからないけど、時々感じることがあるんだ。
何か違う世界に入るみたいな感じで。
それを確かめたい。一緒にいる事でソレが何なのかわかるなら、私はこの二人と一緒に同じ時間を過ごしてみたい。
本当は、興味があるのは私なのかもしれない。
会話が途切れた二人に静かな時間が流れる。
「「この想いはまだ誰にも言えない」」
二人の心の中には小さいけれど確かな新しい想いが芽生え始めていた。
※作者の落書きのような後書き※
この物語はほぼフィクションです。
登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。
誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。
お読みいただいてる皆様に感謝をm(__)m
ちょっと休憩回でございます。
ご意見やご感想お待ちしておりますm(__)m
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