そんなんじゃ!!
「じゃぁこの子……レイジクンだっけ? どうするの? あなた家とかないのかな?」
「ふむ、家か……ある事はあるけど今は無いと言った方がいいかな」
「ウチは一人くらい増えるのは構わないよ。ね? お母さん」
「そうねぇ。お父さんの分が減るだけですから全く構わないわよ? それにこの子かわいいじゃない?」
はじき出された格好で俺はソファーのある場所から近い柱に背中を預け寄りかかっていた。
――分かった事がある――市川家でのお父さんの存在と位置付けだ――頑張れお父さん!!
「私はここにいてもいいのかな?」
「「「もちろん!!」」」
――決まったみたいだけど……
――皆分かってるのかな? この子……やっぱり普通じゃないチカラがある。
――でもやっぱり[嫌]って感情が湧いてこないんだよなぁ俺とか伊織がそういう感情にならないって事は、みんなはそれ以上に気持ち的には落ち着いてるってことだろうけど。
一つ思いついた。
伊織が座る場所の後ろまで指導して、肩をツンツンと突いた。
「ん? なぁに?」
ちょうどヒザを曲げていた俺と、振り向いた伊織の顔がちょうど目の前の位置で止まる。
――く!! ち、近い!!
「ふわぁ!!」
「ん、っとその、何でレイジって名前なんだ 」
「お、お
「ご、ごめん!! 俺もそう思った!!」
慌てて俺は少し後ろに下がり、伊織はぐるんと頭を戻した。
「ん、名前の事だっけ? そ、その……幽霊の霊とお義兄ちゃんの司を足して
「「「おおぉ~!」」」
カレン以下女子組の皆さんが納得してる感じ。
――俺はナゼ俺の名前を使うのかよくわからないんだけど。
相馬さんが何やらニヤッとする。
――なんか嫌な予感……
「伊織ちゃんってさ……ブラコンなの?」
静まり返る室内と、あれ?って顔する相馬さん。
これは分かるね。この静けさなんか久しぶりなような気がする。いつもきゃいきゃいしてるから最近忘れてた。
「ひゃう!! ブ、ブラコンとか…そんなんじゃないんですぅ~~!!」
叫びながら立ち上がって走っていく伊織。
「あ、逃げた」
ぽつりとつぶやく日暮さん。
顔を見合わせるカレンと市川親娘。
――なんだこれ……
「私はどうしたらいいのかな?」
「レイジはそのままみんなと話をしててくれればいいよ」
「ふむ。理解した。そうさせてもらうとしよう」
――で、俺はというと逃げていった――いや、走り去って行った伊織を追いかけていく。
自分の部屋に割り当てられたところをノックしたけど返事がない。何度かたたいたけどそれでも部屋から反応が無いので、恐るおそる中をのぞいてみる。
伊織の姿は見当たらなかった。
――そのほかに行くところと言えば、浜辺の見える中庭くらいか。
俺はそちらの方に足を向けた。
海の潮の匂いの混じった柔らかい風が顔をなでていく。そんな感覚の中、走って行った伊織を追いかけて中庭まで来たんだけど、その伊織の姿が見当たらない。
もう少し浜の方に行ったかもしれないと、浜に続いているだろう道を歩いて行く。
少し入ったところに小さくかがんだ女の子がいた。
後ろ姿で分かる。妹だ
「伊織探したぞ!!」
振り向いた伊織は悲し気な表情をしていた。
眼に涙がうっすらと溜まっているようにも見える。
「ど、どうした!?」
「お、お義兄ちゃん。これ……」
視線を移していく伊織。
その視線に合わせて俺もその後を追う。
そこには草むらの中にポツンと一体だけ石でできた人形のようなものが無造作に横になって転がっていた。
※作者の落書きのような後書き※
この物語はほぼフィクションです。
登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。
誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。
話が進みだして一安心です(^-^;
初見の方並びにリピーターの方皆様に大感謝しておりますm(__)m
間もなく皆さんで浜辺に行くシーンがありますが挿絵入れたいと頑張っております。
ムリだったらごめんなさいm(__)m
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