始めましょうか

「ねぇねぇここにね――」

 カレンと理央が棚の中をきゃいきゃい言いながらごそごそして――

「おう! これいいですねぇ」

 大野君がCDを漁る。

「ごめんなさぁ~い コップとってもらえるかなァ」

「はい、響子さん」

 伊織と響子が人数分の飲み物を注ぎ分けている。


 俺はというと、パソコンの前んで椅子に座りカチカチと調べ物をしていた。

 そう集まった場所は俺の部屋。

 前回の女んの子二人は都合がつかず、一人は後で合流することになっている。

 で……このメンバーだけがそろったわけだけど――


「お前らいい加減にしろ!!」

「「「はぁい」」」

 振り向いた俺が一括する。

 立っていた人は空いてるところに腰を下ろし、座っていた人は俺に視線を向けた。


「みんな、頼んでたものはどうだったかな?」

「話は聞いて来てるよ」

「こっちも大丈夫よぉ」

女子組が顔を見合わせながら頷きあう。

「藤堂さんも、僕も頑張ってきました」

大野君がグッと胸の前で拳を握っている。しかも眼がキラキラとしているというか――怖い。

「わかった。俺も話を聞いてきたよ。これから何をするのかは、皆の話を聞いた後に説明するよ」

 部屋の中でみんながうなずいた。



 それから一時間後――

 俺達はこのことの始まりの学校に来ていた。

 普段はなかなかこういいう自分の学校と違うところには入れないのだが、事前に皆川さんと新井さんに頼んで許可を取ってもらっていた。そしてその二人も今は合流している。


 俺達はその教室で一人を待っていた。

「ごめんなさい。遅くなっちゃいました」

 息を切らせながら入ってきたのは今回の相談者の菜伊籐さんだ。


「大丈夫だよ。後は君だけだったから。じゃぁちょっと準備するね」

 教室にいたみんなでカーテンを閉めて暗くしたり、教室の電気を消したりと手際よく進めていく。


「あ、あの……。これは?」

 顔を少し曇らせた菜伊籐さんが聞いてきた。


「うん。これで良し。さぁ菜伊籐さんその日の事を検証してみよう」

「え!?」

 明らかに動揺しているようだ


「な、なぜ? 今? ここで……」

「やってみないと分からないこともあるよね。だからかな。今日はその他にも人がたくさんいるから、何かあったときはすぐに止められると思うよ」


 少し考えていた彼女が俺の前に歩み寄ってきた。

「だ、誰とするの?」

「もちろん俺がお相手するけど良いかな?」

 のどを鳴らしてコクンとうなずく菜伊籐さん。


 とりだ用意しておいた紙を机の上に置いて、対面になるように椅子に座る。

 ポケットからコインを取り出してその上に置いた。

「いいですか?」

「は、はい」

 神を呼び出す儀式がはじまった。


 数分間は何も起こらずに経過した。


 俺は頃合いみて伊織に目線の合図を送る。その伊織からみんなに合図が送られ、それぞれが起こる事に対応するために態勢を取る。


 みんなが一斉にうなずく。

 それを確認した俺が前を向きなおして…始める。

「そろそろ菜伊籐さん」

「始めるって……もう一緒にしてるじゃない」

「いえ、これの事じゃありませんよ」

「え!?」


 小さなため息をついた。

「それとも今日は出さないんですか? 理沙さんがいないから」

「な、なんで……それ……」

「本人から聞いてきたんですよ」

「…………」

「俺と伊織で行ってきたんですがちゃんと話してくれましたよ。あなたとの関り合いからすべてを。そしてその時は全く他の存在を感じなかった。そうその部屋にはから。ですよね?」

 

 辺りに重く冷たい空気が漂い始めた。


 —―来る!!

 俺の全身の感覚がそう警戒してきている。


「彼女いる時にしか怪奇現象が現れないみたいですし、なによりあなたがいる時にしかでていない。これを考えると……」

「そこまで分かってるのね」


 それまでの雰囲気と変わって菜伊籐さんから強い暗いイメージのプレッシャーが湧き出してきていた。


「『では遠慮はいらないって事ですよね』」

 その言葉と同時にいままでそこにいた菜伊籐さんがさんではなくなった。






※作者の後書きみたいな落書き※

この物語はフィクションです。

登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。

誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。

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