ばかぁ!!

 その日の夜。

 自分の部屋のパソコンの前に座って考え込む俺。


 何を考えてるのかというと――

 今自分が思っている事は果たして現実的に起こり得るものなのか?

 と、いう事。

 これは、えない達が居るのかいないのかの論争以上に俺には分からないからだ。

 それは[女の子の感情]だから。俺にはお手上げである。

 俺の考えでは今回の元凶は理沙ではない。それどころか被害者といってもいい。

 ただそれが本当だと考えるならば――今日の話を聞く限り出来そうな人はたった一人。

 だからこそ悩んでいたのだ。


 ブブブブッ、ブブブブッ


 ベッドの上でケータイが震えている。

 表示された名前は伊織。

 一緒に帰ってきてから、ご飯を食べて自分の部屋へと入ったはずなので、この電話はおそらく二階の伊織の部屋から掛けられているのだろう。


――わざわざ電話してくることもないとは思うんだけど……


「はい、どうした?」

「あ、お義兄にいちゃんまだ起きてる?」

 時計を見るとまだ針は午後十時を回ったばかり。


「こんなに早くは寝ないよ」

「そう。今から部屋に行ってもいいかな?」

「ん? 別に構わないけど」

「じゃぁ、今から行きます」

 そう言って電話をきった。


 数分後――

 こんこん


「開いてるから入って来ていいぞぉ」


 ガチャ


「おじゃましまぁす」

 かわいいクマさんのプリントされたパジャマ姿の伊織が入ってきた。


「どうした伊織こんな時間に珍しいな」

 椅子に座ったまま声をかける。

 伊織はそのままベッドまでとことこ歩いて来てぽすっと腰を下ろした。


「お義兄ちゃん」

「ん?」

「お義兄ちゃんが考えてることが本当だとしたら、私達は何か出来るのかな? 私には何も感じられなかったんだけど」


あの時伊織に耳打ちしたのはたった一言だけ――

「俺は菜伊籐さんが怪しいと思う」 

それ以降は伊織ともこの件に関して話をしていない。

「確かに何もできないかもしれないけど、たぶんあの子も苦しんでるんだと思うんだ。なら、助けてあげたなぁって思ってさ」

伊織の方へ体の向きを変える。

「うん……そうだね。お義兄ちゃんの言う通りだね。言ってたし。人の役に立てるようにって 」

 

―――あれ? 義母かあさんもそんな事言ってたかな?

 ちょっと不思議に思ったけど俺もうなずいた。


「よし!! じゃぁ私も出来る限り頑張るよ」

「うん。頼りにしてるよ」

「それと、私と大野クンはホントに何にも関係ないからね!!」

「わかったよ!! そんなにムキになるなって」

 伊織がクチをもごもごさせながら何か言ってるけど、さすがにきこえなかった。たぶん文句を言ってるんだろう。


「じゃぁ、寝るね。おやすみなさい」

 立ち上がって部屋を出ていこうとする伊織。

「ありがとう、伊織。それと……」

 ドアのところで立ち止まりこちらを振り返る。

「なに?」

「そのくまさんパジャマ似合ってるぞ」


 かぁ~!!

 途端に伊織の顔が赤くなっていく。

「お義兄ちゃんのばかぁぁぁぁ!!」


 バッタ――ン!!


 勢い良く閉められたドアと伊織の声で耳がキ—ン!! と響いた。





※作者の後書きみたいな落書き※

この物語はフィクションです。

登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。

誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。



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