はいはい……

「君たちは遊びのつもりでやっていたんだろうけど、その行為で本物を呼んでしまったみたいだね」

 俺の前の三人が目を丸くしている。


「え……? じゃ、じゃぁ理沙は……」

「あの感じからすると人だと思うんだけど、かれてしまったんだろうね」

「そ、そんな……」


 俺は少し気になったことがあるので、隣にいた伊織とカレンに耳打ちした。突然されたから二人ともビックリしてたけど。

 伊織はうなずき、カレンは目を見開いた。


「ちょっと気になることがあるから一人ずつ話を聞かしてくれるかな」

 そう言って三人をバラバラにして、詳しく話を聞く事にした。


 先ずは皆川さん。

 次に新井さん。

 最後に菜伊籐さんだ。


 内容は同じだけど聞く事は違う。

 その意図を伊織は感じ取ってくれたらしい。


「ありがとうございます。だいたいの話は分かったと思います」

「ううん。こちらこそ。あの……私達暗くなる前に帰りたいからそろそろ……いいかな?」


 周りはまだ日も落ち始めてはいないけど、余ほど暗いあの時怖い目にあったのだろう。だからこそ今日は早めに集まってもらったんだけど、話を聞いたりしてると時間の経過はあっという間だ。


「あ、うん。今日はありがとう。気を付けて帰ってね」

 立ち上がってお礼を述べて頭を下げる。


 三人とも立ち上がってそれぞれに挨拶し並んで公園を後にした。周りにいたメンバーが近くに寄ってきて腰を下ろす。


「まったく。また厄介な話にあんた巻き込まれちゃったわねぇ」

 ため息交じりにカレンがもらした。

「それも真司君らしいんじゃない?」

 理央が言う。


「お、俺だって好きで巻き込まれてるわけじゃないぞ!! だいたい好きじゃないし……」

「ハイハイ、慣れてるわけじゃないし慣れたくないって言うんでしょ? 分かってるって」

「あうぅ……」

 カレンにセリフを取られて変な声が出た。


「それで、これからどうするの? 何か考えがあるんでしょ、真司君」

 いつものふわふわな感じで響子が話す。


「うん。みんなに少し頼みたいことがあるんだ……」


 俺の周りに円を描くように集まって話をし始めた。

「わかった。任せておいて」

「このぐらいなら私達にも出来そうね響子」

「そうねぇ。頑張らなきゃ」


「それから、みんな気を付けてね」

「「「おう!!」」」

 みんなが拳を振り上げて気合を入れた。なんかこういうの慣れてないから恥ずかしい。


「あ、あのお兄さん、僕は何をすればいいでしょうか?」

「ちょ、ちょっと大野君!!」

 俺の前に出て来ようとするのを伊織が止めようとしている。


「大野君も手伝ってくれるのかい?」

「え!? お義兄にいちゃん!?」

 良いからいいからって手で伊織を落ち着かせる。


「ぼ、僕に出来ることがあれば協力したいと思います!!」

「ありがとう。そうだなぁ……じゃぁ伊織の調べ物の手伝いをしてやってくれないかな?」

「ふえぇ!?」

「は、はい!! 頑張ります!!」

 気合が入る大野君とは対照的に、がっくりと落ち込む伊織。


「ねぇシンジ君。あの子も仲間に入れてあげるの?」

 カレンと市川姉妹が寄ってきた。

 三人で俺の顔をじぃ~っと見つめてくる。

 こういうのって慣れてないからかなり照れる。特に相手は女の子だし。

「う、うん。まぁ今は視える人が多いにこしたことは無いと思うし、それに……」

「それに?」

 俺は大野君と伊織の方に視線を移した。

「それに、悪い子じゃないみたいだからなぁ」


 ――はぁ~~。

 カレンが大きくため息をついた。

「まぁ、シンジ君がいいならあたしはいいけどね。あんたらしいしさ」

「そうね」

「それにシスコンが治るかもしれないしねぇ」

 最後に響子がくすくすと笑う。


「い、いや、違うから!! シスコンじゃねぇし!!」


「またまたぁ」

「いいからいいから」

「分かってる分かってるって」

 なんてていいながら歩いて行く三人。

「いや、わかってねぇだろうぉぉ!!」



 こうしてこの日の作戦会議は終わった。

 それぞれが家に帰るべく、みんなで一緒に駅まで並んで歩いて行った。






※作者の後書きみたいな落書き※

この物語はフィクションです。

登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。

誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。


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