衝撃発言
「お
「お? おお、じゃぁそこの公園で少し話そうか」
「うん……」
二人そろって公園の中に入り、数少ないベンチへ腰を下ろした。
座ってしばらくは静かな時間が流れる。
腰を下ろしてからも伊織がしたを向いたままなのだ。
一つため息をついて、バッグから水のペットボトルを2本取り出して1本を伊織に渡す。「ありがとう」って受け取ってくれた。
「伊織、話があるんだろ?」
「あ、うん……そうなんだけど、ちょっと聞きづらいというか――」
「何だ? 別にお兄ちゃんは伊織に隠してる事なんてないぞ? あ……あれか? あれの事か?」
自分の部屋の中を頭の中で記憶と共に確認する。
「あ、あれって何? そっちも気になるんだけど!!」
「え? あ、いや、知らないなら別に、うん」
何かかみ合わない会話が続く。
急に正面を向いた伊織が胸の前で祈る様なポーズを作る。
「お、お義兄ちゃんあのね!!」
「お、おお。なに?」
「お義兄ちゃんってカレンさんの事が好きなの? もしかして、つ、付き合ってるとか……?」
――義妹からとんでも発言きたぁぁぁぁ!!
「ぶふぅっ!!」
飲もうとしていた水を思いっきり吐き出した。
「ゲホゲホッ!! ガホッ!!」
「だ、大丈夫お義兄ちゃん!!」
「だ、大丈夫……。ってか、なんてこと聞くんだよ」
「だって……仲いいんだもん。カレンさんとお義兄ちゃん」
もじもじとしだした伊織。こういうところは妹だなぁって思える。
「ああっと、カレンとは何でもない!! カノジョとかでもないぞ? まぁしいて言うなら、ケンカ友達の一人かなぁ……」
「そ、そう!!? そうなんだ!?」
途端に伊織の表情が明るくなったような気がする。なんか鼻歌みたいなのも聞こえるし。
――やっぱりウチの
「友達……か」
「ン? なぁに?」
無意識にあの女子組三人を[友達]というくくりで呼んでしまった自分に少し違和感を覚えた。少し前の自分には考えられなかったことだったから。
「いや、何でもない。さぁウチに帰ろう!」
「うん!!」
差し出した手を伊織はしっかりと握り返してくれた。そうして久しぶりに手を繋いで義妹いもうととウチに帰る。少し子供のころを思い出して泣きそうになった。
連絡が来たのはそれから二日後の事――
「お義兄ちゃん、響子さんから連絡が来て三和サンなんだけど、今週の土曜日の午前中なら時間取れるって」
ケータイを片手に持ったまま伊織が俺の部屋へとやってきた。
「じゃぁ、九時にこの前の喫茶店に待ち合わせって伝えておいてくれ。それとみんなにも連絡頼むな」
わかったぁ~っていいながら、自分の部屋へと戻っていく伊織。
その姿を見を見てため息をつく。結局[義妹と公園に行く]というチャンスがありながら、肝心な事を聞く事が出来なかったからだ。まぁ伊織から予想外の質問が飛んで来たってせいもあるんだけど。
まぁ同じ屋根の下に暮らしてるんだからチャンスはそのうち来るだろうって考えなおし、もう一つの問題を片づける為、俺はパソコンを立ち上げた。
頭に引っかかる事がいくつかあるからそれを調べるためだ。
一つは秋田真由美さんが亡くなった経緯。彼女はあそこから動けないと言っていた。と、言う事はアノ周辺で何かに巻き込まれてなくなっているはず。
二つ目は秋田真由美さん以外に亡くなった方の経緯。彼女はこうも言っていた私じゃないモノ達って。と、言う事は悪さをしているのは最低でも二体はいることになる。
そして三つ目。十二代目が言いよどんだこと。[カノジョがいないならいいけど……]って言葉。あれもどうも気になる。
全てが完全に分からなくてもいい、その欠片だけでもわかればいいと思いながら俺はマウスを走らせていた。
約束の日――
待ち合わせ場所に五人がそろっていた。テーブルにその人数は座りきらないため並びのテーブルもい使い、俺と伊織で一テーブル。カレンと響子と理央で1つのテーブルに分かれて三和の到着を待っていた。
「すいませ~ん! コーヒーのおかわりくださ~い」
カレンが右腕をビシッと上げる。
「はぁ~い」
ちなみにこの喫茶店はコーヒーがおかわり自由というところも学生たちに人気の理由らしい。
「カレン、どうして朝から元気なの?」
少し眠そうな響子がカレンを見ながら問いかけた。
「え~? 昨日寝てないからかなぁ? 変なテンションになってるだけじゃない?」
「テレビの撮影とか?」
と理央。
「ううん、PVだよ。夏に新曲出るんだ」
「え? ほんとですか! 絶対買います!!」
と喜ぶ伊織。
ありがとぉ~って言うカレンらが、キャッキャと黄色い声で騒いでいると、喫茶店の入り口のドアが開いて三和が姿を現した。
「すいません、少し遅れてしまいました」
慌てながらペコっと頭を下げる三和の後ろを体格のいい男の子が付いて来ていた。今日はカレシも連れてくるという話だったので、たぶん彼がそうなのだろう。
「あれ? お前もしかして真司か? 藤堂真司?」
「え?」
こんないかにもスポーツしてますっていう体をした知り合いはいないはずだけどなぁって思いながら男の子の顔を見る。
「わかんねぇのか? まぁ昔よりだいぶ伸びちまってるしなぁ。
自分の方を指さしながら近寄ってきた。
「まさはる? 正晴ってあの正晴か!?」
「やっぱり真司だったか。久しぶりだなぁ」
思わぬところで思わぬ人物と再会した。父さんの仕事の関係で引越しを何度もしていた俺が、小さい時唯一幼馴染と呼べる存在ができたことがある。それがこの久保正晴だ。結局二年ほどでまた引っ越したため、その後の連絡は取れずにいたんだけど。
「お
「あ、ああ。幼馴染だよ」
「お! うれしいねぇ。俺を幼馴染に思ってくれてるなんてよぉ」
突然の男同士の友情が復活し、男二人で盛り上がっていたのだが、周りの女子組との温度差が広がっていくのを感じないわけではなかった。
「ところで真司。何でここにいんの?」
「なんでって……」
「お前邪魔じゃね? こんなにかわいい女子の中で」
――えぇぇぇ!! それをお前がいうなぁぁぁぁぁ!!
※作者の後書きみたいな落書き※
この物語はフィクションです。
登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。
誤字脱字など報告ございましたら、コメ欄にでもカキコお願いします。
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