カレシいる?
「その五人の中で、あなた達二人だけカレシがいたんですね?」
その問いかけに二人とも力なくうなずいた。
伊織の見せてくれたサイトには画像付きのでその場所の説明がされていた。
〇市〇〇にある〇〇湖は、[カップルまたはカレシ・カノジョがいる者が、その湖面に触るとその湖の呪いにかかる]と言われている。その昔に近所に住む男女が恋に落ち、生涯を誓い合ったが、その村同士のいさかいに巻き込まれて二人を別れさせようとした。その事から逃げるように二人で心中しようとしたのだが、女は亡くなりその後男の姿だけが見つからないままだった。女は男が逃げ出したと思いその男が来るまでその湖でまっているがなかなか現れず、次第に裏切られたと思い込み、男女仲良いモノがその場に触れる度、そのモノ達に呪いをかけている…。と、サイトの紹介分には書かれていた。
「すると二人のカレシも同じ目に?」
読み終えた俺が顔を上げ二人に聞く。
「それが……彼は何ともないみたいで……」
と遠野。
「私の方も何ともないみたいなんです」
と妻野の続いた。
先ほどの会話を思い出す。
――あれ? さっき三和はこう言っていた。[――最近は私にも……]と。 なら逆に言うと最初は見えていなかったという事だ。
この違い。
遠野・妻野と三和の違いとは何か――
「あの、失礼ですけど三和さんて最近彼ができたんですか?」
伊織から質問が飛んだ。
――あ、あぁ~~~なるほど!! そういう事か!! すげぇな伊織!! ってクチに出して言えないから、隣の伊織の頭をなでなでしてやった。 思わずやっちゃったけど、伊織も嫌がってないみたいだし、良しとしよう。
ビックリしたような顔をして、伊織を見つめる三和。
「え? 玲子本当?」
「あ、もしかして……」
と、きゃいきゃいはしゃぎだす遠野と妻野。こういう話の時はやっぱり女子高生的な華やかさが出るみたいだ。
「あ、うん。できたというか、裕子は知ってると思うんだけど、高校入学前に別れてた彼と、最近よりを戻したというか……そんな感じで」
恥ずかしそうに話す三和。
「と、言う事は……その湖に行ったときはまだ彼とは付き合ってなかったって事ですか?」
「そ、そうだね。よりを戻してまだ一週間くらいしかたってないから」
「五人でいった時の後の二人ってホントに彼とかいないのかな?」
すると三人が顔を見合わせて、妻野が答える。
「う~ん、詳しくは聞いたことないけど、今はいないって言ってたけどなぁ」
頭に浮かんだ考えをどうするか迷っていると、伊織がわき腹をツンツンするので振り向いた。
意外と近くに伊織の顔があって、少しドキッとする。伊織が俺の顔を見上げるような形になっていたのだ。
そしてその伊織がコクンとうなずいた。間違いなく
いや、もしかしたら俺が読みやすいだけかもしれないけど――
三人で話したことで少し気が楽になったのか、その後もこの三人はこちらが質問すると、答えられるところは一生懸命に答えてくれた。
俺は実の所、この時点でこの三人は
後の半分は男女でそろって行っていた時だ。そういう事件がテレビや新聞などに載らない程度のモノがまだあるかもしれない。その方面からも調べておきたい。
「三人の話は分かりました。後は俺が調べてみますんで、今日はありがとうございました」
席を立ってお礼として頭を下げる。
「え? 調べてくれるんですか?」
顔を上げた俺に遠野が驚いている。
「ええ、もちろん。でも少しやって欲しいこともあるし、聞いて欲しいこともあるから響子さんか伊織を通して連絡がつくようにして欲しいんですが大丈夫ですか?」
「もちろんよ。こちらから相談を持ち掛けたんだもの、協力できることはさせてもらうつもりよ」
相変わらずのお嬢様のんびりボイスで響子が答えてくれた。さらに片目ウインク付きで。
そうしてまとまったところでこの女子会は終了した。バドミントン部の3人は3一度学校に戻るというので、その場で帰って行った。
残った三人で今後の事を話すんだけど、聞いておかなければいけないことがある。
席に戻っ近くになるように椅子を戻して、飲み物をまた注文して席に腰を下ろす。
一息ついたとき響子から声をかけられた。
「ごめんなさい。こんなに大ごとになる何思ってなかったから……」
「いや、大丈夫です。皆さんは見えてないからこそ恐怖の度合いが分からないでしょうけど、あまり放っ ておく方がまずいと思いますから。俺がどれだけできるかわかりませんけど協力しますよ」
「ありがとう。でもこれからどうするの?」
「まずはその〇〇湖に行ってみようかと思ってます」
「え?」
現場まで行くという俺に驚く響子。
「まずはその場所で何が起きてるのかを見る必要があると思うから」
「お
食い気味に伊織が前に出てきた
「あ、あ、うんわかった」
それを見ていた響子が心をこめて言った。
「やっぱり伊織ちゃんは、お義兄ちゃんと一緒がいいんだねぇ……」
なんてことをいつもののんびりした口調で。
何気ない一言だったけど伊織はかなり気になったらしく。
「い、いえあの、お義兄ちゃんが心配というか、その――」
「あ、でもね伊織ちゃん。そこに行くのなら私たちも一緒だからね?」
伊織の言葉尻にかぶせるように響子が言葉を繋いだ。この言葉には俺が驚いた。
「私達もって……でもそれは危ないい目に……」
大きくため息ついた響子が続ける。
「真司君は優しすぎるよ。ソレは良い事なんだけど、私たち友達なんだから、もっと頼っていいんだよ?」
この言葉に俺は本気で泣きそうになった。
※作者の後書きみたいな落書き※
この物語はフィクションです。
登場人物・登場団体等は架空の人物であり、架空の存在です。
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